第三話 子供の村と進む道 1
ヒーズ「君は先程、戦っただろう!」
ホワイト「いいや、俺がやるべきだ!」
彼らは全世界を支配する組織を壊滅させようと名乗りを上げた旅者。
先程のソートという、組織のチャオとの戦いでホワイトは、「技」と「能力」を知る。
だが、ヒーズに説明した後で、街からフードを被るオレンジ色のチャオがやってきた。
そのチャオは、ホワイト一行を組織のチャオ、と勘違いし、勝負を挑んだ。
しかし、今、どちらが戦うかの非情に迷っている。
カイス「同時に掛かってくればいいだろう!」
ホワイト「なんだと!?」
ヒーズ「フ・・・いいだろう、やらせてもらう!」
構えを取ったヒーズは、すばやくカイスの懐に潜り込んだ。
とっさに、カイスは身を交し、ヒーズを後ろから地面に叩きつけた。
ホワイト「後ろが・・・がら空きだぜ!」
剣を作り出したホワイトは、カイスの背後から剣を振り下ろした。
が、簡単に受け止められてしまい、腹を蹴られて、吹き飛んだ。
カイス「そんなものか?得意の闇術は使わないのか?」
ヒーズ「僕らは組織の連中じゃないと、いっているだろう!」
駆け出したヒーズは、右手をカイスに向かって突き出した。
カイスは見事といえるほどの速さで受け止めると、くるりと爆中して、かかと落しをヒーズに喰らわした。
ホワイト「サンキュー、ヒーズ!いくぜ・・・ブルーライト・エネルギー!」
カイス「なにっ!?」
カイスの背後から、強大な青い光が攻め込んできて、カイスを貫いた。
途端にカイスの後ろからヒーズが殴り飛ばして、気絶させた。
青い光が消えると、カイスのフードは外れて、マントも破れていた。
ヒーズ「やったな・・・・ホワイト。」
ホワイト「ん・・・・?ああ。―こいつ・・・女だったのか!?」
コトン、と、街の中心の家で、年老いているように見える、オレンジ色のニュートラル・チカラチャオが、お茶を飲んだ。
ホワイトたちは、カイスを運んで、この家まで来たのだ。
ヒーズ「ところで長さん。・・・・カイスさんは、どこかで見たことがあるような雰囲気ですが・・」
町長「カイスは・・・とある城の兵士であった。そなたたち、面倒をかけたな。」
ホワイト「で、町長、なんでこの町にはガキしかいないんだ?」
すると、寝ているカイスをみて、悲しそうな顔をしながら町長がいった。
町長「この町のものは皆・・・子供を護るために組織のものにやられたのじゃ。」
ヒーズ「それと、カイス、なんの関係が―?」
町長「カイスは、わしの電報を受けて、この街に向かってくる途中じゃった。じゃが、間に合わず・・・」
その場の空気が少し、重くなったように感じたホワイトは、立ち上がって、外に出た。
と、カイスがそれを待っていたかのように起きた。
カイス「奴は・・・どこだ?」
町長「カイスや・・・このものたちは組織のものではない。皆、組織の殲滅を願っておる。」
カイス「・・・・・・・・・・・・」
ヒーズ「カイス、どうだい?僕たちと一緒に来ないかい?」
戸惑ったかのように見えたカイスだったが、すぐ首を横に振ると、口を開いた。
カイス「私が出てしまったら、この街はどうなる?全部組織の奴等に破壊されてしまうのだぞ!」
町長「じゃが、組織の壊滅にはカイスの力が必要なのじゃ。」
カイス「子供たちはそれを望んでいない!そんなこと、子供たちは知らないほうが―
ホワイト「そうでもないらしいぜ。」
壁に寄りかかり、中に入ってきたホワイトが言った。
そこには、何匹もの子供のチャオがいた。
「僕たち、お姉ちゃんがそしきっていうやつと戦ってるのしってるよ!」
「僕たちがこの町を守るから、お姉ちゃんは戦ってきて!」
「それで、そしきっていうやつをめっためたにしてきてよ!」
一瞬、その場に沈黙が流れた。
だが、次の瞬間、カイスが思いがけないことを口走った。
カイス「いいぞ。さあ、旅は今すぐだ。」
そういって、カイスはホワイトの後から外に出た。
町長「そなたらには感謝しておるぞ。」
ヒーズ「僕はなにもやってませんけどね。」
町長「そうじゃ・・・そなたにこれを託そう。」
長は棚の上から包みを取ると、それを開いて、ヒーズに渡す。
町長「わしが若い頃、使っていた「氷の剣」と「手袋」じゃ。そなたならば完全に扱えるじゃろう。」
ヒーズ「・・・・!ありがとうございます。では。」
一礼して、ヒーズは外に出た。
もう既に、街の出口で、ホワイトとカイスが待っていた。
ホワイト「おせーぞ。」
ヒーズ「フ・・・長さんから剣を託されてね。」
カイス「ほう。父さんがあれを?」
ホワイト「父さん!?」
驚いてつい大声を出したホワイトだが、ヒーズは半目で睨んでいる。
ヒーズ「ところで、なんでカイスはフードを被ってるの?」
カイス「悪いか?私はこの縦髪が気に食わん。―だが、これは、必要ないか。」
そういって、カイスはフードを脱ぎ捨てた。
2へ続く