第一話 支配する者

カラカラッと音を鳴らして、木を切り倒している少年・・・・

色は白く、模様は赤い。ヒーロー・ハシリ・ハシリだ。

手を青く光らせると、剣形状に光が変化し、有体となる。

彼は、その力を持っているのだ。

木を切り倒し終えると、その木を担いで、剣を光にすると、歩いていった。

????「おっちゃーん!みんなー!切って来たぜー!」

そこは極小さな村だった。

家は木材で出来ていたし、機械という機械は見当たらない。

「おっちゃん」と呼ばれたチャオは、青いダーク・チカラのチャオだ。

???「ホワイト!早かったな!」

ホワイト「へっへー。俺は特殊な力を持ってるからね。見ててよー」

左手が再び青く光り、剣形状となると、有体になる。

ホワイト「どう?ラステ。」

ラステ「はっはー!大したもんだ!それなら、組織の奴等にも対抗できるかもなっ!」

組織というのは、この世界のとある力を封印し、支配した組織のことである。

それはもう、一年前のことだ。

空の一点に闇が生まれ、輝かしい光で現代文明が消滅し、プログラムが破損したのは。

だから、機械などないのだ。

ホワイト「じゃあ、俺腹減ったから、ケイに飯作ってもらうよ。」

ラステ「そういうと思ってな。俺が「飯作っとけ」っつーとった。」

ホワイト「マジで!?サンキュー、ラステ!」

手を振りながらはしって、一番近くの柵に囲まれた家に入った。

中には、綺麗なサファイアの、ヒーロー・オヨギ・チカラのチャオがいた。

ケイ「あら、ホワイト。ご飯出来てるわよ。」

ホワイト「いっただっきまーす!」

猛スピードで、スープとその具を食べた。食べ終えると、外に出て、伸びをした。

ホワイト「さてと、どこにいるんかなあ?」

キョロキョロとあたりを見回しながら、村のチャオたちの中を探るように見るホワイト。

その中の、護身用武器屋という店の前に、青いチャオがいたのを見つけ、走り出した。

ホワイト「お~い!」

呼ばれたチャオは、ホワイトのほうを向くが、すぐ武器屋に向きかえる。

武器屋に入ろうかどうするか、迷っているようだ。

ホワイト「それ、戦闘用じゃないぜ。護身用だぞ。」

???「・・・・僕が戦闘用の武器を買うわけがないだろう?」

ホワイト「チェッ・・つれない奴だな。そろそろ名前をお・し・え・ろ・よ」

中に入るのをやめた青いチャオは、すぐ向きを変えてどこかへいってしまった。

ホワイトも疲れが出てきたか、ラステのいる小屋へと戻っていった。

―その夜。

もう外には誰も出ていない。ホワイトを除いて。

ホワイトは焚き火をして、その前に寝転がっている。

ホワイトには、「思い出」がない。いわゆる、「記憶喪失」というやつだ。それを、考えているのだ。

しかし、その夜はいつもと違っていた。いや、これから違わせられた―

ドォォォォォン!という爆音と共に、チャオの悲鳴。

ホワイト「どうしたんだ!?」

次次と爆音が響いている。村が・・・・燃えている。

ホワイト「くっ」

村に向かうと、黒いもやがかかったチャオ達が大勢いた。全員、腕を上げて、黒い弾を撃っている。

ホワイト「やめろォォォ!!」

左手を上げて、青い光を生み出したホワイトは、剣にした。それを扱って、一匹、一匹と、黒いチャオを倒していった。

次第に数は減っていき、やっと全員倒した頃、村は燃やし尽くされていた。

ホワイト「そんな―村が・・・・」

ハッと気づいたように、その場所を駆け出していったホワイトは、後悔した。

ラステとケイの場所が、がら空きではないか―

その時、そこは、既に焼かれていた。いるのは、立ちすくんでいる青いチャオだ。

???「父さん・・・・母さん・・・・っ!」

眠るにも眠れず、そのまま、夜が明けた・・・・鳥のさえずりと共に、朝日が真正面に来た。

ホワイト「くーっ!朝だなー!」

???「どうしてお前は・・・・・そんなに・・・・・」

ホワイト「確かに・・・後悔はしてるさ。だけど、後悔する以前に、俺には後悔するものが今までになかった。」

???「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後悔するものが・・・・ないっ?」

その言葉を聞いて驚いたのか、青いチャオは眼を丸くして、自分に言い聞かせるように言った。

ホワイト「ああ。自分が誰かは分かるんだ。ホワイト。でも、そのほかの・・・親の顔とか、家とか、覚えてないんだ。」

???「(こいつ・・・・僕より酷い目に・・・それなのに・・・僕は・・)」

少し悲しそうな表情をした青いチャオだったが、すぐ立ち直って、やる気を見せた。

???「ホワイト。僕と共に、組織の奴等を倒そう。壊滅させるんだ!」

ホワイト「はァ!?」

???「僕は父さん、母さんの仇を討ちたい。お前は思い出を作りたい。どうだ?条件はそろってるだろ?」

ホワイト「・・・・・・お前も・・・・俺と同じで・・・・・変わったやつだなー!」

急に笑顔になったホワイトが、喜びながら言った。青いチャオも、柄にもなく、笑顔を見せた。

ホワイト「俺はホワイト・ザ・ラシアロスト!そっちの名前、早くお・し・え・ろ・よ!」

ヒーズ「僕はヒーズ・フローツ・カーラットだ。宜しくな。」

そして、ホワイトとその仲間の、旅が始まる―

続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第179号
ページ番号
1 / 74
この作品について
タイトル
WHITE LEGEND
作者
ろっど(ロッド,DoorAurar)
初回掲載
週刊チャオ第179号
最終掲載
週刊チャオ第217号
連載期間
約8ヵ月24日