Violet Pen's NGシーン
ケース.1 「分断するぜ!!」
「俺は、チャオの世界と人間の世界を分断する!!」
そう叫んだ瞬間、和田須磨は銃弾で撃たれた。
それは須磨には当たらなかったが、須磨に恐怖を与えるには充分で、
「なんでそんなに苛めるの!?」
標準を定められた須磨は一目散に逃げた。
彼の行方は誰も知らない。
ケース.2 「どこでも何とか」
人々は須磨の身勝手とも見える行動に対し、驚異的な団結を見せていた。
もちろん、チャオの意見も真っ二つに分かれたが、平和を好む彼らは何のアクションも見せる事が無い。
須磨はわずかに溜息をつくと、やけに重たいドアをそっと開けた。
ビュオオオオオオオオオオオオ――...
雪の粒が頬に当たる。
ここ、どこだ?
ケース.3 「出前の真実」
「チャオを失う事は、我々にとって、とても悲しい事です。チャオにとってもそうであるでしょう。無理に変えずとも良い。ありのままを続けていくのです」
反対組織の幹部であるチャピルは、自分の言った言葉を何度も反芻していた。
果たして自分のやっている事は、正しいことなのだろうか?
チャオが兵器として導入されつつあるという事を、チャピルは噂に聞いている。もし、もしそれが本当ならば……
チャピルは偽名だった。自分が育てたチャオの名前だったのだ。
あの本当のチャピルなら、どのように判断するだろうか。
あの天才なら、どう自分を導くだろう。カツ、カツ、カツ。
コトン。
チャピルははっとした。
ついに来たか。
「おまち、うどん屋でーす」
ケース.4 「たからくじ」
チャピルはもう一度狭い会議室を見回して、棚と棚の隙間から、紙の角が突き出ているのを発見した。
恐る恐る、手にとって見る。
「はずれ」
紙は一瞬で絶命した。
ケース.5 「あいす」
「須磨!」
ドアを開けた冬木が小さな何かを持ってきた。
「アイスが当たったよ!」
「だからどうした」
「これ、普通の当たりじゃないんだ。実は……」
アイスの棒をばーんと突き出して、冬木は言う。
「大当たりなんだ」
「よし! 店に行こう!」
冬木を引っ張って、須磨は走った。
残された某とDXは、呆れた表情で、
「世界よりもアイスかよ」
と思った。
ケース.6 「どらくえ」
銃声が響いた。
カツ、カツ、カツ。
「あ、あなたは…」
「おお、チャピルよ! 死んでしまうとは情けない!」
チャピルは 絶命 した!_
ケース.7 「落ち着けスマッシュ!」
「ここまでは、そしてこれからも、僕の筋書き通りとなる。文字通り、僕はシナリオライターだ。ただし、人間どもを死へ導くシナリオの製作者だけど」
「誰なんだ!!」
「誰、とはご無沙汰だな。きみの知っている通り、僕は僕だ」
それが、あいつの姿をとった。
薄れた記憶でも分かる。
あいつだ。
チャオだ。
「須磨、落ち着け。須磨!」
「違う……お前は、ただの、…化け物だ!」
恐ろしい形相の須磨が叫ぶ。不適に、その化け物が笑った。
「で、誰なんだ、お前は?」
くっくっくっ…妖しく笑ったそれが、どろっと溶けた。
「スライムです」
須磨は右足でそれを蹴った。
他の三人も追撃した。
その後、怪物の姿を見たものはいなかったという。
ケース.8 「紫色のえんぴつ役に立ってない」
…?
何も起こらない。
…そうか、理にかなっていなければ、全ては無駄なのだ。
だとすれば…
『須磨は新世界の神となった!!』
…………。
なぜ何も起こらないんだ!?
ケース.9 「準備はしっかりしておきましょう」
…?
何も起こらない。
…そうか、理にかなっていなければ、全ては無駄なのだ。
だとすれば…
『二次元の世界と人間世界を融合させ「ぺきっ」
芯が…折れた……。
ケース.10 「やっぱりブラックだよね」
紫色のペンを置いて、彼は大きく伸びをした。
さて、最後はどうしよう。
しかし、それは自分の役目ではない気がした。
物語を創ったのは自分だが、その自分でさえ材料を提供したに過ぎない。
…彼らにとっては。
そして彼は、椅子から立ち上がって、コーヒーを入れ始める。
結局、彼らにとっては、どちらが幸せだったのだろうか。
分断された世界。交わりあった世界。
その答えは誰にも出せないだろう。
なぜならば、答えとは観測者によって変化するからだ。
彼はコーヒーをゆっくりと飲んだ。
「あちいい!! 舌やけどしたあああああ!!」
彼は二度と笑う事は無かったという。
口を開くとしみるから。
けーす。おまけ 「でらっくすの、旅立ち」
銃声が響いた。
カツ、カツ、カツ。
須磨「でらっくすうううううううううううう!!!!」
―THE END―
…DX先生の次回作にご期待ください…。