第4章 フシギなフシギな光る石1
チチチ・・・
鳥のさえずりが聞こえる・・・
窓からはさわやかな日光がさんさんと入ってきて・・・
今日も爽やかな一日の始まりが・・・
ミディ「臭っ!」
・・・まどろんでいた時の状況は何処へ行ったのか・・・
起き上がってみるとテーブルは足が天井を向いているし・・・椅子も全部正しい使い方ではない。
それに何より酷いのがお菓子や料理の食べかす、ジュースや酒をこぼしたままである事。
ジュースならタオルで一拭きなのだが・・・酒は臭いが残る!
今日は大掃除で午前がつぶれるな・・・
と立ち上がってゴミだらけの部屋を一歩踏み出す。
二歩目、三歩目を繰り出した所で何かに引っ掛け思いっきりゴミの山に頭を突っ込んだ。
ミディ「・・・」
無言で顔についたゴミを払いとり、足を引っ掛けた正体を探る。
・・・パラディだ・・・・・
酔っ払って暴れだす前に泥酔したんだな・・・
こいつも酒の犠牲者。
ポルダーさんの差し入れの中にあったお酒の犠牲者・・・
・・・というより紳士が自らの子どもに酒を手渡すのか?
まぁ気づかなかったパラディもあれだが。
昨日の親父さんはかっこいい大人・・・それこそ紳士といえるイメージなのに今は悪戯して喜んでる達の悪いガキの姿のイメージしか浮かばない。
で。
残りの三人。
リンネさんは俺のベットを貸しておいて・・・
レアのベットに残り二人がいると・・・
パラディ「おはよう・・・ミディ・・・イタタタ・・・」
起き上がるや、しかめっ面で頭を抱える。
どうやら二日酔いっぽいな・・・
まだ子どもなのに二日酔いになるってどうなんだ・・・?
ミディ「・・・さっさと片付けるぞ」
ややため息をつきながらも現実を直視する。
パラディ「・・・改めて見ると・・・すごいね・・・」
もっともな意見だ。
「そうですよねぇ~昨日は本当に騒ぎましたから・・・」
男二人の会話にいっきなり甲高い声の持ち主が入ってくる。
どう聞いても女性の声だが・・・どこか気品を感じる・・・
もう正体はわかっているが、一応振り返ってみると・・やっぱりリンネさんがいた。
リンネ「おはようございます パラディ君に・・・ミディさん・・・ですよね?」
どうもぎこちない呼びかけ・・・
無理もない。特に俺とは直接話したわけでもないからな。
リンネ「まずはこれを片付けましょう!」
ミディ「悪いな・・・お客なのに・・・」
リンネ「 働かざる者食うべからず ですから。」
とにかくありがたかった。
彼女とパラディの協力もあり、二人が起きてくる前に全て片付いた。
テーブルや椅子も定位置になっていて言う事なしだ!
シェア「おはよ・・・」
一段落ついたところで、ようやく四人目が起きてきた。
まだ眠気が完全にとれていないらしくずっと目をこすっている。
二日酔いの症状は・・・おそらく出てないな 流石シェアだ。
ミディ「レアはまだ寝てるのか?」
シェア「起きてたけど・・・また寝てるかも」
とりあえず部屋を確かめてみると・・・
一度は起きたらしくベットからは降りていたけど、部屋のど真ん中で事切れていた。
ミディ「・・・・さ~て朝食を片付けるかぁ・・・」
レア「まだ食べていないけど・・・」
ミディ「よし!起きたな」
いつもはこうして起こす。
毎度の事ながら・・・びっくりするな。
生き返ったかのごとく目を覚ますから・・・ 食べ物って言葉だけで。
とりあえず朝食やらを済ませて・・・
とにかく待ちに待っていた「事情」を聞ける時がきた。
テーブルで丁度リンネさんと向かいの席に座る。
相手もこの雰囲気を察知したのだろう。
重い口を開きだした。
リンネ「あの・・・石は、どこにあるのでしょうか?」
ミディ「ここにあるよ」
そういってもう何度も見たあの袋を取り出す。
取り出すやリンネさんの顔が明るい表情に変わっていった。
袋の口を逆さに向けると、これも見慣れた無色透明の石が転がり落ちた。
リンネ「ぇ!!?」
高すぎてつぶれたような声を上げる・・・
驚きとショックが隠せないような目で、石を手に取り覗き込む。
リンネ「本物・・・でも・・・・・・」
ミディ「石について知っているのはこれだけだ。」
この言葉を聞いて・・・リンネさんは開けかけた口を閉ざした。
まだ聞きたいことがあるらしいが・・・無駄だと悟ったのだろう。
そしてまた重苦しい沈黙が流れる・・・
とても自宅の雰囲気とは思えないな。
パラディ「あの!」
少し外れたような声。
一旦間を空けた後、また口を動かし始めた。
パラディ「その石の事と・・・ディラさんの事を教えてください!」
眼に強い力を携えてジッとリンネさんの瞳を見つめる。
丁度俺達が一番気にしていた所を的確につきつけた。
リンネ「皆さん・・・光石という物をご存知ですか?」