三章 わくわく!街へ行こう!6

レア「・・・まずお風呂に入ったら?」
汚れだらけのリンネさんを見て提案する。
お世辞にも綺麗とは言えないし・・・ちょっと・・・

リンネ「・・・いいんですか?」
飛びつくような反応。
気になっていたんだけど・・・今まで「ある理由」のせいでできなかった。
そんな感じだ。
とにかく今はその「ある理由」が知りたい。
わからないまま放っておくのは気味が悪いもの・・・・

レア「じゃあ一名様ごあんな~い♪」

リンネ「は~い♪」

相手も私と同じ調子で返してくれる。
リンネさんの顔にもう強張ったような表情は見当たらなかった。
しかし・・・
椅子に座っているシェアは・・・
彼女が持っていた不安を一挙に受け取ったような・・・
とにかくいつもの強気な彼女じゃない事だけは確か。

ピンナさんがお風呂に入った事を確認して、そ~っとシェアの元に寄り添った。
テーブルにへばりつくように倒れているシェア・・・
何か呟いてる・・・?
「あたしの・・・・・・・バカ・・・」
声が微妙に揺れているって事は・・・半泣きだ。
何でこうなったのかは・・・

どっちにせよお兄ちゃん早く帰ってこないかなぁ・・・


パラディ「お邪魔しまーす!」
先に玄関の扉を開けたのはパラディだった。
閉じかけた扉からリアカーの一部分が見えている。
ちゃんと持って帰らないといけないのに・・・
まぁでも少しはこの雰囲気を紛らわしてくれれば・・

ミディ「ゴメン!遅くなった」
お兄ちゃんが帰ってきてくれた!
パラディと一緒になったみたい。

お兄ちゃんが帰ってきてくれたおかげでシェアも顔をあげてくれたし・・・
レア「あれ・・・?お兄ちゃんそのバケツ・・・」
両手にはとっても大きなバケツを持ってきている・・・
パラディがさっきからにやけているけど・・・何?

ミディ「ほら こっち来て見てみろよ!」
二つのカラフルなバケツを覗き込んでみる。
中には・・・お魚!
数匹の大きなお魚が中で狭しと泳いでいた・・・
いや・・・泳ぐというより水に漬かってるだけだ。

ミディ「漁師のおじさんに釣竿を借りたらたくさん釣れたよ」

レア「じゃあ今日はお魚料理って事だよね?」

ミディ「そういう事だ!」

パラディ「父さんからちゃんと許可をもらったから遅くても大丈夫だよ!姉さん」
いきなり話をふられたから戸惑うシェア。
でも・・・嬉しそうな表情は隠しきれていないけどね。

レア「でも・・・これだけで足りるかなぁ・・・?」
リンネさんの分も となるとこれだけじゃあ厳しいかも・・・

パラディ「レア!」
窓の方を指差している。
あっちの方角って・・・ ルナの湖!
つまり・・・そういう事ね♪

レア「じゃあ二人で釣ってくる!」

パラディ「行こう レア!」
もう夕食の準備が始まっててもおかしくない時間帯。
とにかく急ごう!
ドタバタと騒がしい音をたてながら、家を飛び出した。




ミディ「・・さてと・・・今日は魚のだしをとったスープと・・」

シェア「ねぇ・・・」
調理場へ行こうとした所をシェアが引きとめた。
小さくか細いその声は他の物音でかき消されそうな程、小さかった。

シェア「ごめん・・・本当にごめんね・・・・・・でも良かった・・・」

ミディ「え・・・?」

シェア「あんたに・・・・何かあったら・・・・・あたしは・・・・」
俺のことを・・・心配してくれてたのかよ・・・
自然と胸の奥が熱くなっていくのがわかった。
何だろう・・・?この感じ・・・
悪くはない感覚 このまま浸っていたいような気もするけど・・・
早く声かけてやらないとな・・・

ミディ「余計な心配するなよ 俺は死なないからな」
 
シェア「・・・・あたしの魔法がないと、ろくに戦えないくせに!」

ミディ「なっ・・・あの時は敵の目をひきつけておいたからだろ!」
言い終わるや一発頭を殴られる。
何か久々に喰らった気分・・・
気づいたら俺もシェアも互いにいつもと同じ笑顔が戻ってきていた。

ミディ「・・っと! 急いで作らねぇと」

シェア「じゃあ・・あたしも手伝う。今日は来客もいるしね」

ミディ「来客?」

この後・・・
とりあえずレアが連れてきたリンネさんに軽く自己紹介でもしようと思ったが・・・
タイミング良く二人が帰ってきた為、それも後回しとなった。
リンネさんとシェアが手伝ってくれたからそこまで時間もかからなかったとはいえ・・・
この日のメニューは

海鮮丼
刺身盛り合わせ
白魚の香味グリル
赤身魚のムニエル
海鮮スープ
にポルダーさんの差し入れであるお菓子やジュースまでは良かったが・・・
幾つかお酒が混ざっていたから・・・途中でレアとシェアが酔っ払って大暴れ。
俺とお客であるリンネさんで必死に止めるという・・・
とにかく二人の暴走も止まりそうにないしハチャメチャな一夜になりそうだ・・・

まぁ・・・皆笑顔だからこれもいいかな・・・

このページについて
掲載号
週刊チャオ第287号
ページ番号
25 / 63
この作品について
タイトル
剣と石と・・・
作者
キナコ
初回掲載
週刊チャオ第281号
最終掲載
週刊チャオ第313号
連載期間
約7ヵ月13日