都会

都会。
眠らない町とも言われている。
そこを放浪する一匹のチャオが、東京から横浜を歩きゆく。
人追い抜いて、また人がいる。
人に交じって、一匹のチャオが歩みゆく。
目的地は、ない。
ただ、都会という物が知りたいから。

「都会」~チャオから見た角度~

こいつの名前はチャオ。見た目もチャオ。
ある会社で開発されたIQ120のチャオ。

ある日、そのチャオはそこに嫌気がさして、逃げた。
だからこそ、目的地はない。

このチャオが、外で見たのは、人々達の忙しい様子。
誰も、無表情で歩いてゆく。

チャオの前に、倒れたおばあさんがいた。
チャオは、買い物の財布を拾った。届けてあげようと思った。
おばあさんはこういいはなった。
「泥棒!返しなさい!」

チャオは愕然としたとともに、ものすごい怒りがこみ上げていた。
おばあさんの財布を投げ捨てた。
本当はこんなことしたくなかった。
だが、人間は薄情ですぐ怪しむ。
チャオはきれいな心の持ち主。それは許されなかった。

チャオはまた進みゆく。ビルからビルを飛び移った。
ここで初めて、人間が気づいた。

チャオははっとした。自分は会社から逃げたことを。
かまって欲しい。だが、逃げないと行けない。
チャオは後者の考えを実行した。

夜になった。チャオは東京タワーからふわっと飛んだ。
自分は星空を見上げた。
だが、上よりも下の星空がまぶしかった。

チャオは寝た。
チャオは、このまちは眠らないのかな?と思った。

朝になる。人々は通勤ラッシュの時間だった。
チャオは、南を目指す。

チャオは途中で巨大な卵のような物を見つけた。
チャオはなかがきになった。
だけど、あそこに行けば捕まる。
それだけはどうしてもいやだった。

チャオは字が読める。そこには「お台場」と書いてある。
みんな、二人ずつでいた。
チャオは、そこで自分はひとりぼっちということに気がつく。
自分にも、仲間が欲しい
チャオは、あそこにいれば・・・と一瞬思った。

チャオは歩く。
それにしてもここは汚い空気だと重いながら。

チャオのお腹が鳴った。だがここには何もない。
近くにあった、ロッテリアから、袋詰めの細長い揚げ物がでてきた
チャオは、お腹がすいていた。
でも、あれを喰えば、それはゴミあさりと同じ行動だ。
やはり、腹の方を選んだ。チャオは袋ごと、持っていった。

チャオは満腹の体でまた移動を開始した。
「東名高速道路」と書かれたゲートから難なく入った
目指すは「横浜」
理由はない。ただそこに行きたいだけ。そして横浜に着いた。

二日目の夜、自分の体に異変が起こる。
何かだるい・・・
そんな感じだ。そして、ピンクの繭が・・・
いや、灰色の繭が張られた。

チャオは普通、何か目的があると、転生する。
チャオに・・・目的はなかった。
チャオはこうつぶやいた。

なんで都会は薄情なの?
何で都会は空気が汚いの?


ねえ、教えてよ・・・

「なんで、都会に目的がないことを知りながら、僕を作ったの?」

END

この作品について
タイトル
都会(読み切り)
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第129号