最終話 悪の組織
「ちくしょお!!バリアがまだ消えねぇ!!」
銃を持つ二人がバリアを消そうと乱射している。デルデムスが言うには、エネルギーアルファは、ファーストが1回、セカンドが2回、まだ使っていないサードは3回しか使えないらしく、セカンドは予備として使わないでおきたいそうだ。
「貴様ラニ勝利ナドハナイッ!!世界ヲ無ニスル…ワールドブレイク・チャージ開始!!」
化け物の目の前に巨大な魔法エネルギーの弾が出現する。そして、どんどん大きくなっていく。
「世界を無…?ヒット、バリアを突き破るぞ!!」
「え?どうやってさ!?」
「まず、バリアを足に集中させろ。そしたら、足を俺の方に向けろ」
ヒットはデルデムスの言うとおりにする。そうしている間にも巨大なエネルギーの弾は大きくなっていく。
「エネルギーアルファ・サード!」
「のわぁっ!?…っと、エネルギークロー・アルファバァージョーン♪」
エネルギーアルファ・サードは、いわばレッドメアのエネルギークラッシュの類似技で、レーザーが細くなり、その分威力が集中されている。それによってヒットはもの凄い勢いでバリアに突っ込み、破壊する。
「でぇぇぇぇぇぇ~~い!!」
レッドメアが剣を左手に、刀を右手に持ち、それをクロスさせながら敵に向かって走る。そして、デルデムスは老人から預かった「杖」を取り出し、空中から敵に突っ込んでいく。
「ククク…78%チャージ完了」
「レッドメア!距離的に、接近した時にはもう間に合わないぞ!?」
「うるせぇっ!黙って見ていやがれ!!」
レッドメアは、左手にある自分の剣を横に振り、それと同時に、刀を地面と垂直の方向へ向けながら前へ突き出す。すると、十字架の形をした衝撃波が化け物の方へ向かって飛んでいった。
「おぉっ!蛙が壊れたぞっ!」
十字架の衝撃波は、化け物を音を立てずに切り裂いた。化け物は、バランスを失い、崩れる。しかし、元リーダーの部分が浮遊していた。それも、とても巨大な弾を引き継いで。
「クハハハハハハッ!残念ダッタナ!チャージ90%ダァァァ!!」
「もうチャオがする戦いでは無いが…仕方がない。エネルギーアルファ・サード!」
「グオォォォォッ!ダガ、ダガ!100%チャージ完了!!」
デルデムスは、杖に巨大な黒い魔法エネルギーの刃を出現させ、それを飛ばす。もの凄いスピードでその杖が突き刺さり、一瞬相手の行動を遅らせた。この判断は正しかった。なぜならば、軽い杖だけに衝撃を与えれば、デルデムスが飛んでいる速さ以上のスピードで飛んでいけるからだ。
「発動!ワールド・ブレイc…」
「もらうぞ。エネルギーアルファ・セカンド」
デルデムスの手には巨大なエネルギーの弾。その弾には、ワールド・ブレイクのエネルギーは勿論、周辺の魔法エネルギー全てを吸収していた。
「エネルギーアルファ・ラスト」
その巨大なエネルギーは、チャオ用のバスケットボールほどの大きさに圧縮された。その弾を持って、敵の真上から急降下…した。
こうして、チャオの……まるで人間がしたような、否、宇宙人がやったというしか信じてもらえないような旅は幕を閉じた。
この話は、チャオがやったと書かれている。しかし、これがチャオがやったという証拠もなければチャオがやっていないという証拠すらない。
この話に関係するチャオは人間がその星に来てからしばらくして全て消えたからだ。
ただ二人を除いて。
その名は レッドメア
ヒット
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END