13話 正義は滅びる。悪は蘇る。
とある組織 13話 正義は滅びる。悪は蘇る。
森の中。彼らは別の町に移動しようということで、最短ルートを通っている。迷わなければ約2日分は早く着く。
「うし…クリアした…」
レッドメアがゲームの電源をきる。これは、ヒットから借りた物である。その声にヒットは反応して
「どうだった?ねぇ、面白いでしょ?」
「え?あぁ。ゲームの内容は面白いが…ちょっとな」
「ん~?」
「ほら。勇者の子孫とかが主人公じゃんか。だけどさ、魔王は悪くて強いやつじゃん。そうなると勇者が不利なんだよなぁ」
「えぇ~?どうして~?」
ヒットがレッドメアの周囲を飛び回りながら訊く。
「魔王が現れる前に、勇者の子供が事故で死んだら終わりじゃんか。それに比べて魔王の方は血のつながりは関係ない」
「あ…」
「世界を征服したいなんてやつは数え切れないほどいる。実際俺もできるならしたい。そんな中で、征服できるほど力がある者だっているんだよ」
「ふむふむ…勉強になるなぁ~」
その話を聞いていたデルデムスは、不安になる。たった今、情報が入ったのだ。とある者の左足を持っているチャオがこちらの方に来ていると。自分達を正義とすると(絶対に正義ではない職業なのだが)こちらに必要な物で襲ってくるのが悪。それ以上に、スマッシュの方が心配だ。彼は自分を含め、こちらに必要な物体に3回も遭遇しているのだ。
「レッドメアのやつも余計な事を…」
チャオが魔法を使うのは、負担が多すぎる。チャオが使えるようにある程度威力を抑えた物になっているが、強力な魔法を使うほど命に関わってくる。例えば、レッドメアの使う魔法だと、寿命は1回につき2年減る。勿論、レッドメアはダークカオスなのでその面では大丈夫なのだが。
「む…?君達は誰だい?」
木の上から声がする。おそらく、あのチャオだろう。とデルデムスは思う。
「この名前を言えばわかるだろう?…デルデムス」
デルデムスは声の聞こえる方を向き、話すと同時に木に飛び乗った。そして、チャオが二人落ちてきた。
「くおっ!?デルデムスか!」
「ふむ…お前か」
二人は同時に飛び退いた。彼は、箱を地面に置いた。
「何の用だい?」
「その箱に入っている左足をくれ」
「ふぅん。仕方がないなぁ。…魔法で倒してあげるよ」
と、再び箱を背負う。スマッシュはレッドメアに
「ねぇ、手は付けるとその手からでる魔法がパワーアップしたけど、足だとどうなるの?」
と訊く。レッドメアは
「おそらく…両手から出る魔法が多少パワーアップする…んだろうな」
と、曖昧な返事をする。実際、レッドメアもよくわからない。
「ヒーローヒコウタイプの華麗な空中魔法にやられるがいいさっ!」
「…木が邪魔で飛べんぞ」
「う…その自慢の刀で切ってくんない?」
「お前をか?」
「…もういいです」
と、そのチャオは左手を挙げる。すると、巨大な竜巻が発生した。
「ヒット!スマッシュ!行くぞぉっ!トリプルエネルギーッ!!」
「やめろぉっ!!」
デルデムスの声は三人には聞こえなかった。三人は魔法エネルギーを溜める。
「クラッシュ!」 「クロー!」 「アッパー!」
三人の技が同時に竜巻を直撃。竜巻は消滅した。
「ったく…」
「え…?あの子は、これで4つ目?」
「うむ。そうだよ…」
スマッシュの周囲に赤い小さな光がたくさん出ている。これは普段は見えない魔法エネルギーである。
「ナ、ナニ…こ…レ」