その3
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Scene4 チャオカラテ
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で、チャオカラテ会場。
チャオカラテは、チャオ道を極めたものだけに許される、神聖なるバトルです。
よって少年も、観客席までにしか入ることができません。
畳の上に向き合うカラアゲとチャオ博士。
「時間無制限の一本試合、よいな?」
「望むところちゃお!」
オモチャオが旗を振り上げます。
試合開始の合図です!
途端にチャオ博士の背後からすさまじい殺気が・・・
「《今日でキーワード小説1周年か・・・何してんだよこのバカ野郎ー!!》」
青色に輝く殺気はビームの如く、一直線にカラアゲに向かいます。
観客席であっけにとられるロッカクと少年。
「すごい・・・《こんなのチャオじゃない!》」
そのビームを軽くかわしたカラアゲは、
「サンタさんに今年こそは何かもらいたいんで、いい子にしてるんだこの野郎ー!!」
激しいパンチの猛ラッシュ。
ちなみにカラアゲはまだ1歳に満たないので、去年のクリスマスにはそもそも生まれていませんでした。
そのパンチを、チャオ博士は腕で受け止めます。
そして巧みなテクニックで腕を絡めとり、カラアゲの動きを封じます。
「《サンタさんはね、夢をあたえてるの。それだけでいいじゃろ?》」
そしてとても老人とは思えない背負い投げっ
「《見事ちゃお、見事なポヨちゃお・・・!》だがしかし・・・!!」
カラアゲは何とか畳のふちで耐えていました。
「《ギリギリでいつも生きていたいから》!!」
カラアゲの影がふっと消えたかと思うと、それは20を超える数に分裂し、チャオ博士をとりかこみます。
しかし、チャオ博士は余裕の表情。
「この程度でわしが負けるとでも?」
チャオ博士は何を思ったか、自分の足元の畳に手をかけて、一気にひっくり返しました。
それが引き金になったのでしょう。
巻き上がるすべての畳。カラアゲの分身は、霞のごとく消えてなくなります。
カラアゲのホンモノはいました。空中で回転する畳の上に、必死でつかまっています。
チャオカラテは畳から落ちた時点で負けになるのですが、そんななかでも余裕のチャオ博士。
浮いた畳を乗り継いで、カラアゲの畳にまでやってきます。
絶体絶命!!
この状況では肉弾戦は不利と判断したカラアゲは、とっさに心理戦へと切り替え、
「チャオって性別ないから、見方を変えれば《いわゆるオナベ》ちゃおよね」
「《黙れっ、くたばれぇーッ》お前も同類じゃあーっ」
野暮なことかもしれませんが、チャオ博士のキャラが支離滅裂です。
そして戦いは口ゲンカへと発展し、ますます長引いていきます・・・
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Scene5 少年宅―再び
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「いやあ、《延長15回引き分け再試合》、すごかったねぇー。
《ツンデレヒロイン頂上決戦!》に匹敵する試合だった。」
少年の感嘆の声。というか言葉が正確ではありません。
15時間にわたる勝負で決着が付かず、途中別の大会用にいったん試合を中断して、今その大会が終わるまで休憩中です。
15時間も経過したため、あたりはもう深夜です。
「ほんとにこれでいいのかの?「園長が《予想外の動きをしました》」なんて言っても通じるんじゃ・・・」
「だーいじょうぶチャオ博士!」
少年が頼りにならない太鼓判を押します。
そう、なぜだか、試合を中断したチャオ博士やカラアゲは、少年宅に来ているのです。
そしてチャオ博士は・・・
「じゃーん」
「おー」
ヒゲを金色に染めたチャオ博士。一見するとチャオ博士が狂ったかのように見えます。」
変装・・・のつもりらしいですが、ばればれです。
しかし、まんざらでもない様子のチャオ博士。
「これで幼稚園にさりげなく帰れば一件落着だな。」
「強盗の時効が切れるまでその格好しておけば、問題ないちゃおね」
カラアゲの無邪気なせりふ。
チャオ博士が立ち上がります。
「うむ、わしも実は、日々の激務の中、結構ストレスがたまっていたのかもしれんの。
だから今日の一件は、中々いい発散になったと思うのじゃ。色々迷惑かけてすまなんだ。
さて、そんなわけで聖誕祭!今年はじっくり楽しませてもらうぞ!
ここで一句《あさがおと 共に笑うよ チャオたちは》
あと、数日後の前祝いとして、《あけましておめでとう》!」
そんな言葉を言い残し、チャオ博士は扉の向こうへ元気に向かっていきましたとさ。
「・・・再試合するんじゃなかったちゃお?」
「まあいいじゃない。」
おわり。