~ラストエピソード~
たった10時間の命
「ふぅ...ごちそーさま!そんなに料理ヘタじゃないチャオよ?おいしかったチャオ!」
純がイスから飛び降りながら言った。
「そぉか?あんなに材料こぼしたり物焦がしたりしたのに?」
ボクがベランダの柵によりかかりながら言った。
「でも味はぜんぜんOKだったチャオ。(材料がよかったせいだと思うけど...塩が多すぎるし。)」
純がこっちへよってきた。
「あれれ...いつもは空気のせいであんまりみえないのに...今日は星がきれいだね..満月だし。」
「チャオ~?」
「純のため...かもな。」
「ふぁ~あ...」
純が欠伸をした。
「...お前、こーゆーセリフの後にするなよな...」
ボクがため息をつきながらつっこんだ。
「ん~、だって眠いんだもん....ん...」
純はソファーによじのぼり、クッションの上で寝てしまった。
「ったく....(寝つくの早いな...)」
ボクはソファーに座って、純をそっと抱き上げた。
しばらくたって、ボクも、寝てしまった。
ボクは、たくさんの、いろとりどりのチャオたちと遊んでいた。
ワイワイとさわいでいるチャオたちの中に、なんだか覚えがあるようなチャオが一人。
モクハさん、モクハさん!と、なんどもそのチャオはボクによびかけた。
ボクは純だよ、モクハさんがはじめていっしょに暮らしたチャオ、純だよ....
急に腕が軽くなったのでボクは目を覚ました。
腕で抱いていた物を見るとまだ目が覚めたばっかりで、頭も視界もボ~っとしていたが、それだけは妙にはっきり見えた。
.....純が、マユにつつまれている。
だが、灰色じゃない...ピンク...?そういえば、奈美さんがこんなことをいっていたような....
(「え、とてもなつかせれば、ピンク色の....」)。
これは....転生!?
でも、そんなはずはない。
10時間でここまでなつかせるのは無理のはずだ。
でも...そんなことは考えなくていい。もう、純と会えなくなるんだから....転生しないなら.... ボクはマユごと、純をギュッとだきしめた。
すると、とつぜんマユが消え、また急に腕が重くなった。
腕の中をみてみると....
たまご!?
すると、パカっとタマゴがあき、中からかわいいピュアチャオがでてきた。
「モクハさん、またお世話になるチャオ!」
その後も、純が転生したチャオは、あとでまた店で買ったり、出産で生まれたりしたチャオたちと、仲良くくらしている。
いまこそ、知識たっぷりのチャオブリーダーになれたボクだけど、あのころはまだ何にも知らなかったんだなぁ、と思った。
その後、なぜ10時間でチャオが転生できたのか、と、イロイロ研究した人もいたそうだが、やっぱり、だれにも理由が見つからなかった。
でも、命がたった10時間でも、純は、周りのチャオと同じように、友達をみつけて、遊んで、楽しくボクとすごした。
チャオは、長くても6年という年月の間に、人間一生分の楽しみと幸せをつめこんで、一生を終えていく。
たくさんかわいがられたチャオたちは、転生して、また人間一生分の楽しみと幸せを与えられた時間につめこんでいく。
きっと、純もうまく、「人間一生分の楽しみと幸せ」をたっぷりつめこめたんだと思う。かすかにだったけど、純が、マユの中で笑っていたのが見えたから....
おわり
どうやらぺっくはこういうのをネタが切れるまでシリーズ作ることにしてしまったらしいです。
どーだったでしょうか。
(初なのにイキナリ修正忘れるという大失敗しましたが。直してありますよ。)
やっぱりアイツは転生してしまいました。
で、モクハ君は立派に一級チャオブリーダーになったのでした、と。
次にコレにつながる小説を書くつもりです。ネタがきれるまで次の長期連載シリーズはのりませんが....