第2話

「い、今なんか聞こえなかった…?」
「へ? 何にも聞こえてないよ~?」
「空耳じゃないのか?」

≪もしも聞こえたなら…私に…呼びかけてください…≫

よ、呼びかけてって…
どうやればいいのよぉ…ええと、ええと…

「あ、あの! あなたは誰なのよ!」
「「!?」」

シナモンとフィアラ、大分びっくりしたみたい…
は、恥ずかしいじゃないのよ!
何させるのかしら…この謎の声ってば…

≪わ、私の声が…聞こえるんですね!≫
「聞こえるってば! 私に何の用!?」
「し、シュガー…?」
≪アナタ達は、どこにすんでいる方ですか…?≫

えっと、ここ…どこだっけ?
……そうそう、ファンタジー・タウン。

「ファンタジー・タウンよ!」
「おい、シュガー…!」
≪でしたら、話は早いです…村はずれの、ほこらの前で…≫
「ほこらの前で?」
「シュガーってばぁ…」
≪叫ぶのです、私の名前を…私の名前は……リッカ…!≫
「わかった!」

そこで、謎の声はぱったり途切れた。

「しゅ、シュガーぁ…?」
「お前、なんか変だぞ…ってか、すごく変…」
「二人共! ほこらにいくわよ!」
「な、何をいきなり…」

フィアラが言い終わるか言い終わらないかの時、私はだっと走り出した。
早くほこらにいかなきゃ! 何か…何となく、行かなきゃ行かない気がするもの…
…にしても、ほこらって

「しゅ、シュガー待ってよぉ!」
「おい、シュガー!」

後ろから二人共大急ぎで追いかけてきた。
早く、いかなきゃ…

…ほこらについた。
いつものように薄暗くて汚くて、不思議な雰囲気で…
ここで…叫ぶんだよね?

「シュガー すとおおおぉっぷ!!」
「うわ! フィアラ…何よぉ…びっくりした…」
「ビックリしたのはこっちだよ…なんだ? いきなり叫んで走って…」
「ごめん…いっせーのせで、『リッカ』って叫んで」
「「は?」」」
「いっせーのーせっ!」

状況が飲みこめていない二人をよそに、私は勝手に号令をかけた。
そして、3匹とも大きく息をすい…叫んだ。

「「「「リッカ!!!」」」

ヴウゥン!

…目の前が、ゆがむ…
なんだかふわふわして、飛んでいきそう。

私、どこにいっちゃうんだろ…

そのうち…視界がはっきりしてきて、目の前が映った。
目の前に…いきなり映ったのは…

シャレコウベ…

「きゃああぁあ!!!」

何!? っていうかよく考えたら、私もよく状況わかってないんだけど!!
ここどこ!? フィアラとシナモンは!? このシャレコウベは!?…ってチャオだし!!
私は何をどうすればいいのよぉ~!!

「オマエ・ヨソモノ…ヨソモノ・ハイジョスル…」
びゅんっ!

な、なんかヤリでつついてきたぁ~!!

「ちょ、ちょっと危ないじゃなぁいっ!」
「ハイジョ…ハイジョ…」

ど、どうすればこのチャオをとめられるのよ!
私があたふたとよけていると…突然上の方から声が。

「力を目覚めさせるのです! あなたなら…出来るはずです!」

さ、さっきの謎の声…?
でも、今度ははっきり聞こえるけど
幼さの残った、無邪気そうな声…
…って、

「どうすれば 力なんて目覚めるのよぉ~!!」
「呪文を唱えて! 私の言葉をくりかえしてください!」

『我の周りに住むものたちよ』
「我の周りに住むものたちよ!」
『我は守護神なり!』
「我は守護神なり!」
『我に従うべし!』
「我に従うべし!」

私はもうヤケになって それを唱えた。
…何か…まわりの岩やら何やらが浮かんで…?
……やるべきことが わかった気がする…

「あいつを やっつけちゃいなさい!」

私が叫ぶと、周りに浮かんだものが、一斉にシャレコウベにぶつかった。

どかどかどかどかっ!

「ウ…!!」

どさ…

…ノックアウトしたみたい。
にしても、これ誰?
そんでもって…

「あんたは 一体誰!?」
「…リッカです。申し遅れました…」

あ…やっぱりあの声のチャオなのね…
リッカは上から飛び降りてきて、ぺこんとお辞儀した。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第48号
ページ番号
2 / 2
この作品について
タイトル
-守護生命体-
作者
サマーソルト
初回掲載
週刊チャオ第47号
最終掲載
週刊チャオ第48号
連載期間
約8日