第四章 『兄妹』
前回、チャミィの強さの前に太刀打ちできず、危ういところだったチャスは、サクラとルセアによって、最悪の事態をまぬがれた。
しかし、サクラとチャミィが戦っている最中にも新たな刺客がルセアに襲い掛かる。サクラの叫びは届くのだろうか・・・
第四章 『兄妹』
シュン・・・ドカーン・・・
サクラ「ル、ルセアァァーー!」
ルセア「キャァァーー!!」
ぎりぎり、治療が終わったチャスは、力の限り叫んだ。
チャス「ちっ・・・こんな時に・・・土よ!俺とこいつを守ってくれ!グラビドン!」
???「・・・しくじったか。」
もうもうと立ちこめる土煙の中から、怒りの形相をしたチャスが刺客に歩み寄った。
チャス「・・・てめえ、どういうつもりだ?」
???「・・・」
チャス「何とかいえ!このやろう・・・土よ!俺に復讐の力を!ロックブラスト!」
???「そんな攻撃が復讐の力?笑わせないで下さいよ・・・仕方ありません、見せてあげましょう。我が体に時空をも動かす偉大な力を!ヴァリオン!」
シュン・・・
サクラ「・・・消えた!?」
ドゴーン・・・
チャス「やったか?」
岩が落ちたあたりに目をむけると、砂煙が立ち上ったところに誰かが立っている。
チャミィ「彼はレイ。時空の申し子。雷の使い手・・・そして、あの子の兄。」
サクラ「私にあんな兄さんなんていないわよ?」
チャス「ってことは・・・」
サクラ「つまり・・・」
チャミィ「ご察しの通り。ルセア・・・とか言う名前だったかなぁ・・・その子の兄よ、レイは。」
チャス「だとしたら、あいつは自分の妹を攻撃しようとしたのか?」
チャミィ「あなたを回復させようとしていたのをとめようとしていただけのようね。たまたまそれが妹だった・・・多分それだけ。」
ルセア「・・・兄さん?レイ兄さんなのね!?」
レイ「・・・その声は・・・ルセアか?あぁ、雷の神ヨーラムよ!あなたの恵みに感謝いたします!離れ離れになり、二度と会うことはないと思っていた妹ルセアと戦場で再会できたことを!」
サクラ「あんなに仲つまじい兄弟だったとはね。」
チャミィ「・・・突然なんだけどさ、あんた達にお願いがあるのよ。」
チャス「俺達は取引きに応じない。」
サクラ「内容による。」
チャミィ「じゃぁ、手短に話すわ。内容は単純明快。私とレイを、あなた達の仲間に入れて欲しいの。」
サクラ「・・・?もっと詳しく教えてくれる?」
チャミィ「最近、セイント内部でも争いが起こってるのはご存知よね?」
チャス「あぁ、まぁ・・・」
チャミィ「私とレイは、そのことに嫌気がさして、ここまで逃げてきたのよ。・・・いわば、私達はいまや逃亡兵。だから、あなた達と一緒にいたいのよ。」
チャス「それなら、なぜ最初からそのことを言わなかったんだ?分かるやつに手荒な真似はしたくない。」
チャミィ「あなた達の実力を見たかったのよ。一緒にいてくれるなら、セイントの本拠地、教えるわ。」
サクラ「チャス、どうする?」
チャス「一度スピりチャルに相談したほうがよさそうだ。チャミィ、レイ、二人とも、俺達についてこい。スピりチャルに相談する。」
三人に二人を含めた五人は、ルセアのルーパージで変えることを決めた。
そのころ、荷物番を任されたスピりチャルは・・・
スピりチャル「腹減った~~~!!!」