予告編
僕の人生には、常にレールが敷かれている。
そのレールは僕にしか見えない。
けれど僕がそのレールに従うことはない。
ひたすら避け続けるんだ。
だって、レールの上を歩くだけの人生なんて、真っ平御免だろ?
自分たちの身を守るためには、誰かを犠牲にしなければならない。
そんな当たり前のことを忘れて、人は生きる。
まるで誰かを守っているつもりになっている。
「チャオが消える? あんなの都市伝説だよ、嘘っぱちに決まってるよ」
絶望へのカウントダウンは既に始まっている。
「チャオを消費して動かす機械! それがチャオ・ウォーカーなんですよ!」
街中から消えていくチャオの姿に気づくものは。
「ねえ、あの噂って、本当だったんじゃないの?」
チャオ・ウォーカーは今日も世界を守る。
誰かを、犠牲にして。
「——僕の体から、心が溶けて行く」
砕け散る幻想。忘れられるチャオ。消えて行く心。
「君にはチャオ・ウォーカーの資格がない」
世界を守るという正当化。
「僕は正しいことをしているんだ。間違ってるなら言ってみろ」
失ったものたち。失われていくものたち。人の平穏の為には。
「俺のチャオを奪ったあいつらを、俺は絶対に許さない」
それでも戦わなければならない。
誰かを犠牲にしてでも、戦わなければ、生きられない。
人は、滅んでしまうのだから。
「僕が何をしたっていうんだ!!」
ヒーローの資格。
「チャオを消費して動かす? ふざけんな! 何考えてんだ、てめえ!」
「では、人を消費して動かすようにしましょうか? 出来ますよ。例えば、あなたとか」
滅ぶことのない敵。
「あなたに私の何が分かるの?」
悲しみが聞こえる。
「やめてくれ、僕に言わないでくれ。僕に、僕には、どうにも出来ないんだよ!」
選ぶべき道は。
「人の夢が儚いんじゃないよ。人の傍に夢があるから、儚いのさ。そう、手を伸ばせば届くはずだ」
怨念の敵。
「倒しても倒しても、これじゃあキリがない!」
人の望む敵。
「チャオの心は純度が高いからね。エネルギー効率がいいのさ」
待ち焦がれたはずの自由は、こんなものだったか。
レールから外れた人生は、こんなものだったか。
「お膳立てはしてあげたよ。君の手は限りなく、そうさ、限りなく伸ばすことが出来るんだ」
そうだ、こんなものじゃない。
「僕と一緒に戦ってくれないか」
「今の僕には、未来が見える」
チャオ・ウォーカー
気が向いたら完成させます。