第1話:決意
チャオ・・・それは小さく儚い、不思議な生命。
一説によると3000年以上前から存在するらしい。
数年前からペットとして人の手に渡り始めて以来、巷で大人気だ。
今では多数のチャオガーデンを有する施設・チャオワールドが設立され、
チャオ人気はさらに加速することとなった。
そんな折、とある都市の街角から物語は始まる……。
ある朝、街のシンボルである塔を臨む公園で1匹のチャオが眠っていた。
彼の名はサイオン。通称ソニックチャオと呼ばれる形態のチャオである。
この街に住む野良チャオなのだが、なぜ野良なのか、その理由は知れない。
「ん………? 朝か………。」
サイオンは目を覚ました。キョトンとした表情で辺りを見回している。
どうやら、自分が何故ここで寝ていたのか、一瞬理解できなかったようだ。
「そうか……昨晩エサを探していて……ここで寝ちまったのか。」
状況を理解すると、サイオンは歩き出した。
結局昨晩はそのエサが見つからなかったのを思い出したのだ。
目的地は公園から100m程の場所にある店。
サイオンは正直、あまりこの店に来たくなかった。
そこの店の店長はサイオンと顔見知りで、色々と良くしてくれている。
彼にはそれが申し訳なく思えたのだった。
だから、どうしても必要なときにしか来ないようにしていた。
サイオンは店の裏口、つまり店長一家の住居のドアを叩いた。
表からは人間達の迷惑になると思うサイオンの、せめてもの気遣いであった。
十数分後、サイオンは大きな荷物を背負って店から出てきた。
荷物の中には、店長の奥さんが作った料理が入っていた。
サイオンのことを考えて長持ちするように作った保存食だった。
先程貰った荷物を持ってサイオンは更に歩いていく。
街の外れにある小さな林、そこが彼の住処であった。
「これで準備は終りか。」
そう言うと彼は先程貰った食料を別の袋に詰め替えた。
その日の午後、サイオンは街を散歩して過ごした。
街を歩く人々を眺めて歩くのが彼の一番の楽しみなのだ。
しかし今回の散歩はいつもとは違っていた。
彼は街の景色を目に焼き付けるかのように眺めていたのだ。
それもその筈、サイオンは旅に出る気でいたのだ。
街への未練を振り払った彼は出発をその日の夜に決めたのだった………。
<第2話に続く>
【後記】
チャオ小説は初挑戦なNORIMAROです。駄文ですが、楽しんでいただければ幸いです。
現在主流の『(名前)「(台詞)」』のような形式をあえて取らずに書こうと思います
ちなみに、題名の"Shangri-La"とは桃源郷という意味の英語です。
【登場チャオ紹介】
名前:サイオン(SCION)
年齢:15歳
種類:NRR
備考:ある街に住む野良チャオ。
名前はある有名な人物の名前をもじったそうだ。
因みにモデルはNORIMAROの愛チャオである。
感想・アドバイス大歓迎です!