第三章 ~半透明~ 二十四話
シャドウ達はルークに着くと、まずは情報収集を始めることにした。シャドウ達は、どこにでもありふれてそうだがルークでは少ない店に入った。その店の情報誌コーナーで、シャドウは地方の情報誌を手に取った。近頃ではもうメカチャオの存在はマール星では当たり前となっているので、地方紙でないとルークのような小さな町での事件は注目されないのだ。
ところが、地方の情報誌にはルークに現れたメカチャオの情報が載っていなかった。シャドウは情報誌を棚に戻して、ナイツとナイリアに首を振って見せた。
「仕方がない、聞き込みをしよう」
シャドウは二人の同意を確認すると、店で働いていた若いチャオに話しかけた。彼はやる気がなさそうな顔で商品を並べていたが、僕が話しかけると意外にもしっかりと答えてくれた。
彼の話すところによると、最近メカチャオが現れた場所はこの店からあまり離れていない空き地だったらしい。さらに、実はメカチャオは頻繁に、さらに広範囲で現れているという大きな情報を提供してくれた。だが、メカチャオは特に何かをするわけでもなく、空き地や邪魔にならない場所の地面に座っているだけだそうだ。被害がないことと、メカチャオが座っていることに住民も慣れてしまっていることが、情報誌に記載されない原因ではないか、と彼は推測した。彼は僕たちが情報誌を見ていたことも見ていたようだ。
「それじゃあ、まだメカチャオはいるのか?」
シャドウがそう訊くと、若い店員は否定した。
「座っているメカチャオに近づこうとすると、空を飛んでどこかへ行ってしまうのですよ。近づかなくても、ある程度時間が経つと同じく飛んで行ってしまいます。まるでカラスのようです」
シャドウ達は念のためにメカチャオを探してみた。町中を歩いて入り口に戻ってきたが、メカチャオは見当たらなかった。これで、あとはマッスル達を待つだけなのだが、ナイツとナイリアは焦っていた。
「ねぇ、何でメカチャオがこの町に来たと思う?」
ナイリアはシャドウとナイツに向けて言った。
「解らない。だが、意味がないということはないだろう」とシャドウ。
「もしかしたら、他のことをするための囮かもしれない」とナイツ。
マッスル達を待つ時間が惜しい。だが、何も出来ない。それが二人を焦らせる。そんな二人を見てシャドウは、落ち着け、といった。
「今僕たちに出来ることはない。マッスル達を待つべきだ」
シャドウがそういったとき、ルークの南のほうの外れで地上から空に向かって伸びる赤い光線のようなものが現れた。
「何あれ」
ナイリアが光線を見て唖然とする。
「シャドウ、行った方が良いと思う」
ナイツは羽を広げて、今にも飛び立ちそうだ。シャドウは少し悩んでから答えた。
「解った、行こう」
シャドウは手紙を書いて入り口に目立つように貼った。ナイツとナイリアは飛び立ち、シャドウは走り出した。