3話~刺客~
相変わらず呆然と平原を歩き続けるジュエチャ・・。
「・・・ったく、魔物の1匹くらいいないのか?」
ジュエチャが呟く。それよりいる訳が無い。第一わざわざ森から平原へ出てくる魔物などいない。
フェニクが楽しそうに言う。
「ここを北西に進めばステーションスクエアチャオ通りだよ。」
ステーションスクエアには人間通りとチャオ通りがある。チャオでしか入れない秘密の穴から通行可能。人間街にも行けるのだがわざわざ行くチャオはいない。
「ここをそのまま北へ進めばクレスナの森。魔物は沢山いるそうだが・・。あんまり一般の奴らは近付かねぇ。それこそ猟師とかだ。」
口調でわかると思うがエメラスだ。
「まあ・・。街にでも行くか?戦備品でも買いに」
ジュエチャが適当に言う。でも確かに必要だった。
「ちょいと待て、貴様らか。リヌシアから出た馬鹿勇者とは。」
行こうとするなり後ろから声がする。
「勇者は俺だ。馬鹿勇者などいないぞ。」
「そうか、見間違いか。すまなかったな勇者さん。・・・勇者?待てぇ!!やっぱり貴様だな!!エネルギーキック!!」
気付くのが遅い。そして技は早い。
しかしジュエチャは難なく避けた。
勿論失敗してこける。
「だれだよ。テメェ。ハハァ・・。やられたいのだな?ド・メルシ!!」
初対面の相手にいきなり大技をぶつける。
相手は腰が抜けている。
「ひぃぃぃぃぃ!!ヤ・・・ヤメロ!なんて・・。カウンタークイック!」
完全に演技だった。一応魔法を撥ね返そうとしているらしい。
「ちっ!本当に防ぎやがった!どんな体してるんだよ!!」
「無駄無駄。もっと強い技じゃないと。不可能だねぇ。」
挑発しているがそんなことに乗るエメラスではない。
「挑発には効かないぜ。・・・・昔のままだったらぶん殴ってたがな。」
「強い技か。ほう・・。」
聞き捨てならない言葉だったらしい。
すぐさま召喚の準備をしている。
?「赤翔閃!!」
誰かが割り込みしている。
「なっ!貴様かっ!ここは逃げるしかない・・。
急いで逃げ去っていく。
ある意味間抜な刺客だ。
「危ない所・・ではないが、助けていただきありがとう。」
「いい。お前の名は?」
相手は冷静に言う。殆ど無表情らしい。
「ジュエチャだ。だが、まず自分の名を名乗るのが礼儀ではないのか?」
「すまない。剣翔だ。」
剣翔は言った。「貴様らも名乗れ」と。これはエメラス達にらしい。
「俺はエメラス。元王の側近で今は旧友の護衛。」
「俺はフェニク。放浪の旅をしていたがこいつに勝負を挑んで負けた。」
「そうか。・・・ジュエチャか。まあいい。俺がついていっても構わないな?」
全員異議無しで一致。
そのあとに剣翔が言う。
「・・もしよかったらこのアズマも連れて行って欲しいのだが。」
ジュエチャは少し悩んだが全員OKを出した。
「アズマという。剣翔の回復役だ。どこへ向かうかは知らないが、とにかくついていく。」
剣翔よりは感情があるらしい。
これでもまだ無口な方だ。
これで仲間が二匹増えた。
向かう先はステーションスクエア・・・。
続く