ジュエル散る。(その9) ページ2
チャミーのチャオバトラーは、地上の全てのチャオのチャオチカラを得て、100倍の大きさに巨大化します。
アメジストチャオのチャオバトラーより、10倍も大きくなったチャミーのチャオバトラー。
「あたしには、ジュエルチャオ達が、そして地上の全てのチャオ達がチカラを貸してくれてるちゃお。」
チャミーは、アメジストチャオをにらみます。
「あなたは、あなた以外の全てのチャオを相手にするのちゃお。あなたに勝ち目はないちゃお。降参するちゃお!」
「むぐぐぐぐ。」
こんな不利な状況下とは言え、アメジストチャオも降参などしません。
「チャオがどうした!地上は地上ビトどもの邪念で満ちている!そんなチャオチカラなど、恐れる足らず!!」
アメジストチャオはなんと、またまた地上ビト達の邪念を吸収しだします。
ヒトの欲望は無限大。
無尽蔵な邪念が、アメジストチャオのチャオバトラーにとりこまれ、チャオバトラーはどんどん巨大化していきます。
10倍の大きさから、20倍、70倍、そして100倍。チャミーのチャオバトラーと同じ大きさになります。
「ふふふ、これでまだ勝負は分からんぞ!」
そして、さらに巨大化するアメジストチャオのチャオバトラー。
130倍、170倍、250倍。
いつしかアメジストの輝きは失われ、ピンク色に濁ります。
形も、ニュートラヒコウタイプの形状が崩れていきます。
「も、もうこれ以上邪念はいらない。」
アメジストチャオの叫びもむなしく、さらに巨大化されるチャオバトラー。
いや、すでにチャオバトラーと言える代物ではなくなっています。
300倍、600倍、900倍。
もはやチャオの形状を崩してしまい、アメーバーとでもいうべき形状なアメジストチャオのチャオバトラー。
コックピットのアメジストチャオをも圧迫しはじめます。
「く、苦しい…。」
体中を締め付けられるアメジストチャオ。
自らが取り入れたとはいえ、尽きることの無いヒトの欲望。
アメジストチャオは後悔します。
「チャ、チャミー、たす…」ぷち。
形を変えていくチャオバトラーの中で、ナニが起きているのか、チャミーには分かりません。
しかし、目の前の物体が極悪な存在であり、こいつこそ自分が倒さなくてはいけない相手と理解します。
ふと、そんなおぞましい物体から、一つの球体が飛び出してきます。
アメジストチャオのチャオのアレです。
アメジストチャオ。あなたは…。
チャミーは、目の前の物体の内部でなにが起きたのかを、即座に理解します。
チャミーの目からは、涙がこぼれます。
アメジストチャオも、元は普通のチャオだったはず。
それがこんな邪念に取り付かれ、そしてこんな邪念に殺されてしまった。
アメジストチャオのチャオのアレも、マスタージュエルに吸い込まれます。
一段と輝きを増すマスタージュエル!
その時、チャミーのチャオバトラーに変化が起きます。