赤いハリモグラと赤いチャオ(その7) ページ1
海と大地のハザマにあるという、バイチャオンウエル。
全ての魂が帰る場所とも言われるそこは、地上ビト達の邪念により、淀んだ世界となっていた。
その淀みの象徴といわれるアメジストチャオ。
そして、浄化のチャオチカラを持つチャミー。
この二人の決戦はチャオロードを通り、地上世界へと持ち越された。
「ここが地上世界か。」
チャオロードを通り地上世界へとやってきたアメジストチャオのチャオバトラー。
「ふははは、やはり、やはり邪念に満ちた世界だったのか!」
アメジストチャオのチャオのアレに、地上ビト達の邪念がダイレクトに入ってきます。
元々バイチャオンウエルとは、地上ビトの思念の影響を受けやすい世界。そこの住人であるアメジストチャオ。
彼は、チャミーとのチャオバトラー戦でチャオロードを開き、地上世界に出る作戦をとったのです。
チャミーのチャオチカラに対抗するためには、地上ビトの邪念を、地上でダイレクトに吸収するしかない。
「なんだあれは?」
お昼ね中、妙なモノに暖かい日差しを遮られ、不快に目が覚める赤いハリモグラ。
チャオロードの出口は、天空に浮かぶエンジェル島のさらに上空だった。
赤いハリモグラが怪訝そうに空を見上げると、大きなチャオがそこにいます。
それは、アメジストチャオのチャオバトラーなのですが、傍目には大きなニュートラヒコウタイプのアメジストチャオです。
アメジストチャオのチャオバトラーは、暴れだします。
ミスティックルーインの駅が壊され、鉄橋も無残に崩されます。
「や、やめろ~。」
赤いハリモグラが叫ぶと同時に、数機の戦闘機が飛んできます。
GUNの戦闘機です。
巨大チャオ出現とともに、緊急発進したのです。
チュドドドド~ン!
戦闘機はすれ違いざま、激しい爆撃を与えます。
「なんだ、この攻撃は?」
その攻撃を、蚊がさした程度にも感じないアメジストチャオのチャオバトラー。
アメジストチャオのチャオバトラーは、戦闘機目掛けてパンチします。
破壊される一機の戦闘機。パイロットは破壊される寸前に脱出します。
「や、野郎!」
その一部始終を見ていた赤いハリモグラ。
彼は巨大なチャオ目掛けて滑空します。このチャオに一矢報いる為に。
しかし、赤いハリモグラの自慢の鉄拳は、巨大チャオには届きません。
アメジストチャオのチャオバトラーは両こぶしを合わせ、赤いハリモグラを上から叩きつけます。
コイ~ン。
地面に叩きつけられる赤いハリモグラ。彼が持っていた数枚のコインが身代わりとなり、彼はなんとか無事でした。
しかし、そのダメージは計り知れず、彼は立ち上がることが出来ません。
「これは?」
その時、アメジストチャオから遅れてチャミーが地上世界へとやってきます。
そこは、見覚えのあるエンジェル島の上空。
アメジストチャオのチャオバトラーが大きな翼を羽ばたかせ、その突風でGUNの戦闘機を弾き飛ばしています。
「あぶないちゃお!」
チャミーのチャオバトラーは吹き飛ぶ戦闘機を両手で優しく包みます。
そのまま地上に降ろします。
「ナックルズ~!」
傷つき倒れる赤いハリネズミに駆け寄る1人のチャオ。全身が赤く、このエンジェル島の気候で特殊進化したチャオです。
「ナックルズ~、しっかりするちゃお!」
その言葉に、ナックルズと呼ばれる赤いハリネズミは目を開けます。
「チャックルズか、…、今まで何処行ってた?」
ナックルズは、チャックルズと呼ぶチャオが左手に持ってる宝石に目をやります。
「そ、それは、…。」
言葉に詰まるチャックルズ。
ナックルズは目を閉じ言います。
「お前がマスタージュエルをいつまでもほったらかすから、こうなったんだ。」
その言葉にチャックルズは、泣きべそをかきます。
「ふえ~ん、だってだって、あさぼらけのぼけぞうが、三ヶ月で終わらすって言ってたちゃおに、半年もかけやがるんちゃお。チャックルズ、ナックルズにお尻ペンペンされたくなかったちゃお~。」
ナックルズはチャックルズの頭を優しくなでなでします。
「バカ野郎。それでも俺の育てたチャオか?」
泣きべそかいてたチャックルズも、頭の上にポンっとハートを浮かべ、うふふと微笑みだします。
そんなチャックルズを見て、ナックルズも微笑みます。
「さあチャックルズ。泣いてないでやることがあるんだろ?お前にしか出来ないことが。」
そう言ってナックルズは気を失います。
「は、ナックルズ~!」
うふふまなこから我にかえるチャックルズ。彼は手に持つ宝石、マスタージュエルを見つめます。
チャオの頭の上に浮かぶプヨプヨしたもの。いわゆるチャオのアレ。
そして、この世の全てのチャオのアレを統べるという、マスタージュエル。
チャックルズは、マスタージュエルに祈ります。
「チャオはかわいい生き物。
この世になごみをもたらす平和の使者たらん。
ぷにぷにのぽよぽよで、か~わいいちゃお~。
いじめっこは、許さないちゃお!
マスタージュエルよ、あのいじめっこの…。」
「駄目ちゃお~