チャミーＧｏＦｉｇｈｔ！（その３） ページ2

数分後闘技場に戻ったチャミーは、卵の殻を被っていた。
「さあ、これで勝負ちゃお！」

開始線に並ぶ二人のハシリタイプのチャオ。
オモチャオの掛け声とともに、二人の試合が始まった。

猪突猛進、サファイアはチャミーに突っ込む。すかさず右にかわすチャミー。
しかしサファイアは、回し蹴りをぶち込み、チャミーは闘技場に隣接する館の壁に激突。

ダウン中のチャミーに駆け寄り、チャミーの被り物に手をやるサファイア。
「秒殺とは、あっけないものですね。」
闘技場の横の場外部分から、ほくそえむエメラルド。
「ちゃ、チャミー。」
ミィも場外部分から叫ぶ。
しかし、すぽっと脱がされるチャミーの被り物。その下から、チャミーの顔が…、いや！
なんと被り物の下から、またまた卵の殻が現れる。
サファイアは、その被り物を剥ぎ取る。その下から、また卵の殻が現れる。

「き、きたないです！チャミーは何枚も覆面を被ってます！」
場外から叫ぶエメラルド。
「ふふふ、スペアのマスクを被っちゃ駄目ってルールは無いちゃお。」
審判のオモチャオも、エメラルドの抗議は認めなかった。
「ぐぐ、こうなったら、チャミーのマスクを全て剥ぎ取りなさい！」
そして、数枚のマスクが剥ぎ取られた時、卵の殻の頬の部分に、ある文字が書かれてありました。

おしまい

それを見て、ミィが叫ぶ。
「ちゃ、チャミー、余裕ぶっこいてる場合じゃないよ、それが最後の一枚よ！」
「な、なんちゃおってぇ？」
正確な枚数を把握してなかったチャミーは、ちょっとパニくる。
「その下が、最後です。さあサファイアチャオよ、チャミーの素顔を暴きなさい！」
エメラルドの叫びとともに、サファイアはジャンプする。左手に装備した鉄の爪を先にして、錐揉み状態でチャミーに突っ込む。
チャミーは、わずかに身をかわすのがやっとだった。

卵の殻に、亀裂が走る。そして、左のひたい部分の殻が剥がれ落ち、その下のチャミーのひたいがあらわになる。
そのままダウンするチャミー。
「チャミー！あなたはサファイアチャオにやられたチャオ達のために闘ってるんじゃないのぉ～？！」
場外から、ミィが叫ぶ。
「ふふふ、、復讐という訳ですか。」
それを聞いて、エメラルドがにやける。
「実は、このサファイアチャオも、あるチャオの復讐のために闘っているいるのです。」
エメラルドの言葉に、倒れながやもエメラルドに目を向けるチャミー。
「そのチャオとは、この私です！」
その言葉に、チャミーのチャオのアレがハテナマークになる。
「おやおや、この私をお忘れですか。チャンピオンとなると、冷たいものですね。」
じっとエメラルドを見つめるチャミー。
エメラルドチャオは、ニュートラオヨギタイプのチャオだった。俗に言う、エイリアンである。
そのシルエットが、チャミーの記憶の中のあるチャオと重なる。しかし、身体の色合いは、明らかに違う。
いや、一箇所だけ、変わらない箇所があった。目である。
チャミーのチャオのアレが、今度はビックリマークになる。
「ま、まさか、チャビンちゃお？」

チャビンとは、以前チャミーがＣ−１グランプリで優勝した際、一回戦で闘った相手である。
その後のどの試合で闘ったチャオより、決勝で闘ったチャオよりも、手強かった。なにせ、一番の優勝候補だったのだから。

「ようやく思い出しましたか。あの時の屈辱は、忘れませんよ。」
にやりと笑いながら言うエメラルド。
「そ、そんなあ、アタシ達の友情はなんだったのちゃお。」
「そんなもの、始めっからありません。私はあなたへの復讐のため、修行を重ねて、ジュエルチャオになりました。その修行の途中で見つけたジュエルの原石。それがサファイアチャオです！
これで、私の復讐は、より完璧なものになるのです。彼には、私の格闘技術の全てを叩き込んであります。さあサファイアチャオよ、チャミーにトドメをさしなさい！」

サファイアチャオは、ダウン状態のチャミーを蹴り上げる。
しかしチャミーはごろりと回転し、蹴りをかわし、起き上がる。
ラッシュをかけるサファイア。
その攻撃をことごとくかわすチャミー。
「さ、さっきまでは、かわせもしなかったのに…。」
その光景に驚くミィ。それは、エメラルドも同じだった。

「なんでアタシが、サファイアチャオの攻撃が読めるのか、教えてあげようちゃおか？」
サファイアの左のパンチをがっちりと掴み、チャミーは言う。
「このサファイアチャオには、エメラルドチャオの格闘技術が叩き込まれているちゃお。
　そう、サファイアチャオの戦闘技術は、エメラルドチャオのものちゃお。つまり、サファイアチャオは、エメラルドチャオのコピーチャオにすぎないちゃお！」
「す、すごいわ、チャミー！」
チャミーの解説に感激するミィ。
「サファイアチャオがファイティングコンピューターなら、あなたはさしずめ、闘うトランジスタラジオね！」
ミィの言葉に、観客がどっとわく。

「ふふふ、コピーチャオですか。」
チャミーの言葉に、小声で笑