性感帯

無限に続く悦びは遙か遠く
見渡す限り走れそうな場所はなく
老いた身体をどうすることもない
流れる雲に着いていくだけで精一杯

ヒーローなんて言葉に酔って
ただ遊びたかっただけなんだろう?
誰だって同じ 時さえ過ぎれば
いつしか忘れられ1人で死んでゆく

もう一度生まれ変わっても
またこうやって生きていくのならば
永遠なんて一瞬のもので有ればいい

今は思い出だけが性感帯


近くのチャオが俺に目配せして
こっちに来てと叫ぶように笑っている
手を伸ばせたならば良いんだよね
もう足は一歩も前には進めないんだ

あなたがもう一度生まれ変わったら
こんな場所から離れてくれて良い
ゴミのようにここで命を終えた俺に
誰が別れの餞をくれるのだろうか

好きな人を好きになったならば
後悔しないうちに追いかければいい
花の輪を作ることは無駄な時間でもない
恋人と踊る時間は捨てれるものじゃない

今は思い出だけが性感帯


大地も宇宙も森も何も変わらないのに
その上を笑って歩く俺は変わったんだ
いつか 俺の幸せを受け取ったあなたはまた
この地球の上で命を花開かせるのだろう

もう俺はその姿を見れないだろうけど
さよなら でもあなたは好きな日々を送ればいい
後悔する道かって 傷つけられる道かって
例えばもう二度とこの世に生まれられない道かって…

今は思い出だけが性感帯

この作品について
タイトル
性感帯
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第318号