スカーレット。

赤い紐ももうソロソロ消えかけていた。

以前はずっと守るなんて言い張っていたのに。

あっけない。

今、僕は他から来る赤い灯に酔わされて、

いま、一番大切なはずの赤い紐を切ろうとしている。

はさみはいつの間にか目の前にあった。



新しいことにぶつかるのは罪じゃない。

誰もがそう思っているし、認めている。

だけど、そのある一瞬の強い繋がりが、

僕を躊躇させている。

何故?

僕に赤い灯が問いかけてくる。

はさみを手に持った。

それをさせたのは、

ダークカオスチャオの黒々しい灯ではない。

僕が求め、僕を求めている赤い灯。



悪いことじゃない。

あるいは悪魔か、天使がそうささやいている。

僕はもうこの赤い紐を切り取って、

新しい赤い灯をとってみたい。

僕はこのままこの赤い紐と一緒にいても変わらない。

はさみを赤い紐に近づける。

チャオのスキルを3266まで押し上げて、

そのデータがすぐに消えてしまうかのように。

ゆっくりゆっくり、すぐに消えてしまう赤い灯から、

赤い紐まで紡ぎ上げてきた今のこれを、

僕はぱっちりと切った。



新しい赤い灯はもう、すぐそこだった。

そして、それは僕のかちんこちんに凍り付いた、

この情熱みたいなココロを溶かしていく。

前の赤い紐は灯によって燃え尽きていた。

何もかもが消え去った、

でも、悲しくない。

又紡ぎ会わせていけばいい、その赤い紐を。



06/07/01 すかーれっと。 緑茶

この作品について
タイトル
スカーレット。
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第224号