第七話 草原を駆ける男(前編)
街で旅の準備をしっかりと整えたクロウ達は、一つ目の難関、魔物の巣くう草原へとさしかかろうとしていた。
ここは、チャオがほとんど足を踏み入れない場所でもあった。
それ故、ここは「魔の草原」の異名で知られていたのである。
クロウ「うわー・・・ある程度予想はしていたが、ここまで気味の悪いところだとは・・・」
ファング「ここは魔物の巣食う草原だ。慎重に行こうぜ。」
一年中雲がかかっていることの多いこの草原は、緑ではなく茶褐色の草で覆われているのであった。
ミラ「こういうところは嫌いじゃないけど・・・雰囲気がヤだな・・・」
レイラ「いっそのこと、魔物でも出てきたらいいのに・・・」
全員「いや、それはヤバイだろ!」
と、その時だった。
???「邪悪な魔物・・・覚悟。」
―バレグ・ルーマ・イル(行け・闇・玉)
ミラ「いきなり何!?・・・危ない!皆伏せて!」
シュッ・・・
男の手から発せられた黒い玉は、空中を滑るようにクロウ達に向かって飛んできた。
なんとかかわせたものの、もし攻撃を受けていたら、どうなっていたか分かったものではない。
フローラ「いったいなんなのでしょう?」
ファング「おい!いきなり襲い掛かってきて・・・お前は誰なんだ!?」
???「・・・魔物ではなかったのか。・・・行くか。」
ファング「待てって!」
―ファイ・マイル(自分・移動)
魔旋律のささやきとともに、男の姿は音もなく消えた。
ファング「あいつはいったい・・・?」