第七話 草原を駆ける男(前編)

街で旅の準備をしっかりと整えたクロウ達は、一つ目の難関、魔物の巣くう草原へとさしかかろうとしていた。

ここは、チャオがほとんど足を踏み入れない場所でもあった。

それ故、ここは「魔の草原」の異名で知られていたのである。

クロウ「うわー・・・ある程度予想はしていたが、ここまで気味の悪いところだとは・・・」

ファング「ここは魔物の巣食う草原だ。慎重に行こうぜ。」

一年中雲がかかっていることの多いこの草原は、緑ではなく茶褐色の草で覆われているのであった。

ミラ「こういうところは嫌いじゃないけど・・・雰囲気がヤだな・・・」

レイラ「いっそのこと、魔物でも出てきたらいいのに・・・」

全員「いや、それはヤバイだろ!」

と、その時だった。

???「邪悪な魔物・・・覚悟。」

―バレグ・ルーマ・イル(行け・闇・玉)

ミラ「いきなり何!?・・・危ない!皆伏せて!」

シュッ・・・

男の手から発せられた黒い玉は、空中を滑るようにクロウ達に向かって飛んできた。

なんとかかわせたものの、もし攻撃を受けていたら、どうなっていたか分かったものではない。

フローラ「いったいなんなのでしょう?」

ファング「おい!いきなり襲い掛かってきて・・・お前は誰なんだ!?」

???「・・・魔物ではなかったのか。・・・行くか。」

ファング「待てって!」

―ファイ・マイル(自分・移動)

魔旋律のささやきとともに、男の姿は音もなく消えた。

ファング「あいつはいったい・・・?」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第157号
ページ番号
10 / 21
この作品について
タイトル
理想郷へ ―果てしなき世界―
作者
桜(フィルァ,チャチャ,飛諏珂)
初回掲載
週刊チャオ第153号
最終掲載
週刊チャオ第163号
連載期間
約2ヵ月12日