＝【炎の世界編】＝第19話

前回のあらすじ

ナイトメアを倒したファントムは三人を
王宮内に連れて行こうとする。
そして門は開かれた・・・。


「ちょっと待った！」
ビーチャルが突然叫んだ。
「フレアスの事すっかり忘れてた！」
「あ、そういえば・・・。」
さっきのナイトメア騒ぎでフレアスの事は
すっかり忘れ去られていた。
「ちょっと連れて来る。」
そこら辺に寝かされていたフレアスはまだそこに居た。

・・・寝心地は悪そうだ。

ビーチャルはフレアスを担ぎ、皆のもとに戻っていった。
「よし、行くよ。いいかい？」
「コイツ・・・結構重いんだけど。」
「お前が連れてくるって言ったんだろ、ビーチャル。」
「む・・・しょうがないか・・・。」
「じゃあ今度こそ行くよ。」
もう開いている門をくぐり、王宮内へ四人は入った。
「うわ～、広いね～！」
「お前は子供か・・・。」
確かに広いがチャオルカ達の学校より狭かった。
だけど廊下は延々と続いている。
「そこに医務室があるだろう。そこにフレアスを寝かせよう。」
医務室に入ろうとした時、廊下の向こうから
見覚えのあるチャオがやって来た。
「おっ？お前らやっと来たか。」
「あっビターさん！」
「おうビーチャルだっけ？能力は使いこなせるか？」
「いや、まだ・・・。」
「ならちょっとこっちついて来いや。」
「え？ああ、はい。
　じゃあちょっと行って来るよ。」
「へいへい、いってらっさい。」
ビターはビーチャルを引っ張ってどこかに行ってしまった。
「さてと・・・医務室にフレアスを寝かせるんだったよな。」
三人はまた医務室に入った。
「じゃあそこのベットに寝かせて・・・あれ？獣牙？どうした？」
五つあるうちの一つに獣牙が寝ていた。
「いや、ちょっと怪我しちまって・・・。」
「敵にやられたのか？」
「いや、ちょっと足を滑らせて・・・捻挫だ。」
「・・・。」
「お？そこに居るのは・・・さっきの子達か。
　ちょうどいい、さっきはちゃんと自己紹介出来なかったからな。
　俺の名前は獣牙だ、よろしく。」
「僕はチャルガ！」
「俺はチャオルカと言います。」
「ほう・・・これが噂に聞いた王族の紋章か・・・
何か秘密でもあるのかねぇ。」
獣牙はしげしげとあざを見ていた。
「あっ！」
「どうした？チャルガ。」
「フレアスベットに寝かせなきゃ！」
とりあえず空いているベットのうち一つにフレアスを寝かせた。
「フレアスだと？十二使徒の？」
「そうだけど・・・。」
「何でそんな奴がここに居るんだ、ファントム！」
「彼はもうデビルではない。だから危険は無いと考えたんだ。」
「ふん・・・住民に被害が出たらどうする。
　危険ではないとも言い切れないぞ。」
「それより彼の命が心配だ。
　彼のナイトメアは消滅した。」
「ナイトメアが出たのか？確かに危ないな。」
「何で危ないの？ナイトメアはチャオに寄生するんでしょ？
　なら居ない方が・・・。」
チャルガがいきなり口を挟んで来た。
「何故ならね、ナイトメアは全てのチャオの心に居るんだよ。」

「えええ！？」



つづく