最後の冒険

ぱらだいす・アイランド~余命三日の冒険記~最後の冒険

「ボク、決めました!」
ペッツは、今までにない大声で言った。
「ボクは、コレだけはそうは思いません!たしかに、ここは何も考えず、永遠に幸せに暮らしていけます。
でも、それはボクの友達と別れることであって、目標を失って、ずっと満たされないような気持ちになるだけです。
それは、ボクにとっては.....」
ペッツは、これだけ、しぼりだすように一気に言って、少し言葉を切った。
でも、すぐに大声で叫んだ。
「それは、ボクにとっては、死んでいるのと同じです!!」
ほとんど、姿の見えない声の主に怒鳴り散らすようだった。
すると、青空の世界が、ペッツの周りを渦巻き、やさしく包み込むようにいった。
─そう思うなら あなたを 元の世界へ返しましょう 転生して 新しい思い出を作って 新しい冒険に出なさい そして 一つの目標に向かって この島を夢で 育ててください それが今のあなたへの 最後の頼みです─
その声は、空へ消えた。
渦を巻きながら青空とどこかの風景が交じり合っている。
しだいに、青空は消えていき、どこかの風景がひろがっていった─

ペッツは、金をたたえたピンク色のマユに包まれていた。
小さな金の光が周りを飛び交い、見覚えのあるチャオ2人がこっちを心配そうに覗き込んでいる。
でも、やがてマユはどんどん濃くなっていき、それも見えなくなっていった。
その時、ペッツの目前に、強い光が走った─

「なぁ....これ...転生のマユだよな....」
「見える?うっすらとタマゴが見えるよ!?」
「アイツ─」
「転生できたんだ!」
二人の声が重なって聞こえた。

─なつかしいなぁ、どこかで聞いた声だ。─
ペッツは、暗いタマゴの中で、夢見心地でその声を聞いていた。
でも、無性にその声の主に会いたくなり、闇から出ようと、タマゴのカラを破ろうとした。
後ちょっとで破れる─でもそのあとちょっとが、なかなか硬くて開かなかった。
するとその時、ふいにタマゴが上に持ち上げられ、そのあとちょっとが破られ、ペッツの目前にに光があふれた─

「うわ~ん、ペッツぅ~、心配してたんだよ~!?」
ペッツは急にふいに誰かの腕の中に引き寄せられ、息が詰まりそうになるほど抱きしめられていた。
その自分を抱いている手を見ると、見覚えのある、まだ2次進化をし始めていないノーマルヒコウの肌の色─ルーベルの手だった。
「おいおい、放してやれよ、またペッツ死んじまうぞ?」
聞き覚えのある、太い声が聞こえてきた─ダークチカラタイプのチャオが2人の様子をすぐそばで覗き込んでいる─そこにいるのは、ヴィンだった。
「わぁ、ひさしぶり!」
ペッツは、すぐに心の中で思いついたことを言葉にして言った。
ところが二人はけげんそうな顔をして、
「はぁ?お前さっきいなくなっちまったばっかりじゃねえか?」
「そうよ、アンタなんでひさしぶりなの?」
といいながらクスクス笑い始めた。
「でも...ボクは10年くらい君らにあってない気がするけど....」
ペッツはポヨをさっと?マークにして首をかしげた。
するとルーベルは笑うのをやめて、ペッツのほうを透き通ったような正直な瞳でまじまじと見つめた。
「...アンタ、泉で消えてからなにがあったのか、話してごらん?なんかあったでしょ?」
「うん....えっとね.....」
ペッツは、あの空間でのことを、一つ一つ話していった。
そしてあの青空の最後の声のところにさしかかったとき、ペッツはあの頼みを思い出して、少し言葉を切った。
でも、そのまま、
「そこでね、青空が、─そう思うなら あなたを 元の世界へ返しましょう 転生して 新しい思い出を作って 新しい冒険に出なさい そして 一つの目標に向かって この島を夢で 育ててください それが今のあなたへの 最後の頼みです─って言ったの。そしたらここにもどってて、気がついたら繭に入っていて.....で、とにかくこの島に町をつくれってことだと思うんだ。だからボクたちでタマゴ生みまくって町をつくって....ホラ、どうせ元のところには帰れないでしょ?」
と言った。
それを聞いてルーベルとヴィンは、顔を見合わせ、
「よっしゃ、やろうじゃん!」
「じゃ、あたしがタマゴ生まなきゃいけないの!?.....まあいいか。」
と快活に言った。
そして3人は、家を作るべく、材料を求めて森の中に駆けていった。

─それから3000年後─

一人のチャオが、ペンをなげだし、原稿用の羊皮紙を丸め、筒の箱に放り込んだ。
もうそれは夜もふけたころのことだった。
その羊皮紙の裏の隅に、
─歴史の一ページに記された3人のチャオの物語─ぱらだいす・アイランド~余命三日の冒険記~
と小さな字で殴り書きしてある。
ほとんどの人が「いったいなんのことだろう」と思うだろうが、この話がなければ、この島にチャオは住んでなかったのである。

この作家チャオの住んでいる町は、大海原にポツンとういた、南の島の、とある3人のチャオが育てた町だった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第105号
ページ番号
7 / 7
この作品について
タイトル
ぱらだいす・アイランド~余命三日の冒険記~
作者
ぺっく・ぴーす
初回掲載
週刊チャオ第98号
最終掲載
週刊チャオ第105号
連載期間
約1ヵ月19日