幼き者達が仕切る町 全20話
布団を敷いて弟の朝と白はもう眠った。
夜と黒は屋根の上で作戦を立てている。
黒がボソッと言う。
—愛・・・・。
そう言い、空をボーと見上げている。
夜はその言葉を聞き逃していなかった。
—黒、お前愛ちゃんの事好きなんか?
おい、黒!聞いとるんか!?
—な、なんだ夜!五月蝿いぞ!
名前の通り夜になると活発になるのか!?
黒が焦っている。
顔を赤らめて・・・。
黒が話を変えた。
—そういえば俺達が初めて会ったのはいつ頃だったけなぁ・・・。
—考えてみればそうやな。確か俺と朝が8年前、お前ら白黒兄弟に殴りこみに言ったとき、引き分けになったやな。
お互い親も知らんし、よう似とるし、仲も善うなったし、それから一緒に暮らす事になったんやな。
—お前達が着てくれて、この町はより良くなった。
感謝している。
黒と夜が話している時、誰かが自分達を呼ぶ声がした。
—黒さ~ん、夜さ~ん!
愛姉さんだ。
相変わらず夏帽子は被っている。
片手は後ろに隠れている。何か持ってるみたいだ。
—愛ちゃん!こんな遅くにどないしたんよ?
愛ちゃんみたいな可愛い子、捕まってまうで!!
—それより、そっちに登っていいかしら?
—ええよ!けど、上れるかぁ?
愛姉さんは頷き、3メートル程の屋根の上に飛び乗った。
愛も一応、猫と呼ばれている。
一応なので、着地に少し失敗する。
—そういえば貴方達にコレを渡したいの!
愛は後ろに持っていた何かを前に差し出す。
—一生懸命作ったの!いつも頑張ってくれてる貴方達に!
服だった。
その服はとても綺麗で、細かい。
オレンジ色のTシャツには英語でMORNING!と刺繍されている。おまけに太陽まで。
ムラサキ色のTシャツにはNIGHT!と月の刺繍がある。
白色のTシャツには黒い字で前にはWHITE、後ろにはSHIROの字。
黒色のTシャツには白い字で前にはBLACK、後ろにはKUROの字が書いてあった。
—このTシャツ、着て欲しいな。
そろそろ帰らなきゃ、じゃなね!
—勿論着るで!すごいな、愛ちゃん!
気ぃつけてな~!
愛は屋根の上を飛び、家に戻っていった。
黒は早速その服を着る。
夜も着る。
—・・・・・・・暖かいな・・・。
—朝と白の分は枕元に置いとこか~。
ちょっと寒い夜が、この日はとても暖かく感じた。
夜と黒も布団を敷いて眠りに入る。
服は枕元にたたんで置いた。
—いやな胸騒ぎがするで・・・・。
黒、気をつけなな。
—あぁ。
2人の横では弟達が寝息を立てて寝ていた。
兄達も静かに眠り始めた。
夜中 1:00
愛の家—
—ふぅ、店の用意も出来たし眠らなきゃ。
愛のベッドの横にはHFFのCHAOの写真が飾ってあった。
—恋姉さん、今頃どうしてるのかな・・・?
愛は眠りに着く。
魔の手が近づいてきている事も知らず・・・。
続く