第6話続き
普通は人生かけて築いた財産、家族とチャオ1匹では比較する方がどーかしているかもしれんが、その場にいた俺たちはいたって豊に同情していた。それにどんな理由があるにせよ、嘘や偽証はよくない事だ。
そこへ有紀が一匹のチャオを抱いて部屋に戻ってきた。
つやつや光る黄色のヒーローオヨギのチャオを抱いて。
これが有紀の「ナスカ」か!
俺は正直驚いた。
ジュエルより価値は下がるが、つやつや色チャオは違った意味でレアなチャオだ。
世界で発見された野生のチャオは公式発表されているものは全部ピュアである。
それが何年もかけてチャオ愛好家達に血統の研究をされ、突然変異や繁殖の配合などにより色とジュエルが誕生した。ジュエルはニューギニア奥地の秘境に野生として生息していたのを考古学者が発見、との説もある。
その中でつやつやチャオは一番新しい品種だ。
発表されたのは二年前ちょい。
人々は、ジュエルとはまた違うその光沢の美しさにため息をもらしたものだ。
人気がいまいちなのは、生まれつき繁殖能力がないため。
本当はあるのだが、遺伝子にキズがあるとのことで、一般に育成できるチャオには故意に矯正されている。
もっか世界のチャオ研究所の最重要課題が、このつやつやチャオの遺伝子の謎を解くこと・・・俺は福永先生からはそう聞いている。
つまり、あまり世の中に出回っていない、めずらしいチャオなのだ。
有紀は二年間、ナスカがつやつや黄色チャオということをネットで隠していたのか。
ネットには変なやからもいるしな。あまり目立ちたくなかったんだろう。
その気持ちは俺もよくわかる。
俺もラスが言葉が話せることを隠していた。あのテレビ出演まで・・・。
「おまたせしたわ、紹介します。ユートピアの友達で私の大事なチャオ、ナスカよ」
俺も含め、チャオクラブのメンバー全員が、始めてみるつやつやと美しく光る黄色いチャオにしばし見とれた。
「そーか、チャオはチャオ語で会話できるらしいもんなー、この有紀のナスカのチャオ語をラスに通訳してもらえば、ユートピアが何考えてたのか、わかるかもしれないってわけだ!!」
健が嬉しそうに叫んだ。
ははは・・・健だけはつやに興味ないんだなー。愛チャオのカメハメ以外に魅了されることはないか。一途な奴だな(チャオに関しては)
にしても・・やっとわかったのかよ。
健のいうとおり、唯一ナスカがユートピアの真相の手がかりというわけか。
「ラス、おいで」
俺に呼ばれて、ラスは豊のもとから飛んで来た。
俺と有紀は向かい合わせに座り、それぞれのチャオを自分の前にすわらせた。
ラスとナスカはそれぞれ見つめあった。
チャオ語で
「は~い♪」
「うんうん、うくうく♪」
と挨拶をはじめた。お互いにハートのポヨをだして。
・・・なんだかチャオのお見合いみたいだな・・・
ん?ラスの様子が変だ?目がトロンとして?顔も赤紫のよーな?
ふいに俺がそう思った、その時だ!
すげーことが起こってしまったーーー!!
ラスがニコニコハートのポヨのまま、周りに花を咲かせてしまったのだ!
・・・続く。