最終話 続き
「本当にお世話になりました。」
飼い主の人は、深々とお辞儀をした。チャオは、少し悲しそうな顔で手を振った。
俺も・・・手を振った。
「・・・・元気でな・・・!!」
俺は、チャオを乗せた車が見えなくなるまで手を振り続けた。
家のリビングへ戻る。また、いつも通り誰も居ない。
さっきまで絵を描いていたチャオも、今はもう居ない。・・・残っているのは、チャオがさっきまで使っていた画用紙とクレヨン。
「・・・・」
俺は、さっきチャオが隠した画用紙の絵をめくって見た。
「・・・!!」
するとそこには・・・。俺とチャオ。あいつと・・・俺が、一緒に絵を描いている絵が描かれていた。
とても幸せだったさっきの風景・・・。
俺の頬に、温かいものがつたう。
でも、チャオもこれで良かったんだ・・・・。きっと、これからも幸せに暮らすだろう。
本当に、元気でな・・・・。
・ ・
「ただいま」
誰も居ない空間に、俺の声が響き渡った。だが、その空間は、前と少し違う。
壁には、絵が飾られていた。
俺とチャオの絵。
そこには、チャオの字でこう書いてあった。
「イママデ トオッッッテモ タノシカッタチャオ!オソトヘオサンポシタリ オヒル タベタリ
オエカキモ タノシカッタチャオ!ホントウニ アリガトウチャオ!
マタ キット アウチャオ!!」
あいつは、俺と元の飼い主の人との会話を聞いていたらしい。
もう会えないことを聞いて・・・。
それで、これを描いたんだろう。
・・・ありがとう。
俺は絶対に忘れない。俺とあいつと過ごした、あの数日間を・・・。
END