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さあ、いよいよヒーローレース レベル4です。
司会は私佐藤、解説は鈴木さんです。
どうですか鈴木さん、このレースは?
そうですねー、あんな子どもチャオにはヒーカに勝てないと思うのですが、
このレースに出るなら以外にも実力者かもしれないですねー。
先がまったく読めないです。
さあ、第一コースはつい最近チャオリンピック女子マラソンの日本代表となったヒーローカオス選手
そして第三コース、第四コースに並ぶのは、以外にも実力者かもしれないと言う子どもチャオ2匹組です。
このあたりでこのことに気がついた人はすごいです。
二人の会話をよーく見てください。
カギカッコがありません。
つまり私の1人芝居なんです。ハッハッハッハ
おもちゃおが空高くピストルを上げます。
短距離走でもないのになぜかクラウチングスタートの子どもチャオ2匹、
ロッカクとカラアゲが短い足でおしりを高く上げます。
おもちゃおが指も無い手で引き金をひこうとします―無理です。
そしてそんなうやむやの中でスタート!!
しょっちゅう、というか毎回のことなので誰も気にしません。
虹をそのまま映し出したような地面がスタートには広がっています。
しかしそれもわずか、すぐに最初の難関びっくり箱が現れます。
…難関とは言いがたいかもしれません。
なぜならこの箱を開けると中からおばけが出てくると言うのは、チャオ達の中ではすでにじょーしきとなっているのです。
レースにはほとんどでたことの無い2匹、ロッカクとカラアゲもそんなうわさは聞いています。
結論から言うと3匹はそのままびっくり箱の横を通りすぎていきました。
緩やかな左カーブを曲がった3匹は崖から飛び出します。
重力に逆らえなかった3匹はそのまま川にポッチャン
「プハー」
のんびり息をはいてみたカラアゲ。
そうしているあいだにも他の2匹は崖登りを始めます。
「ちょっと待つちゃお~」
待つバカはいません。
崖を登りきった3匹は木のほうへと走ってゆきます。
カラアゲも2匹のあとを追います。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
カラアゲのゆっくりだった呼吸がだんだん小刻みになってきます。
ぼんやりした視界の中で何かを見つめます。
カラアゲの見つめる先には二つの背中
一つはヒーローカオスのもの、きれいなフォームで走っているのがよく分かります。
もう一つはロッカクのもの、前傾姿勢でスピードを出しているのが伝わってきます。
カラアゲはあることに気がつきました。
「なんであいつらの背中が並んでるねん」
なして関西弁やねん。
(いまどきの言い方だと「ありえな~い」になるんだろうか?)
しょーもない考えはおいといて、レースのほうに話を戻しましょう。
木の実おとしを無視して左へのカーブを曲がり、再び川へと飛びこみます。
なんとか泳げる程度のスキルしか持ち合わせていないカラアゲとロッカク
すでにバタフライも習得したと言うヒーローカオス
そのケタちがいなはずのスキルの差は、一見このレースには見られません。
ポヨを?にしたまま陸にはいあがったカラアゲは、次の木の実選びへ足を速めます。
木の実選びも頭のいいチャオは無視します。
しかしここは歩かなければいけないと言うルールがあります。
そして歩きになったチャオ達のゆとりから、ほんの少しだけ選手がおしゃべりすることができます。
そこで、カラアゲが気になっていたことを訊きました。
「ヒーローカオスさん、どうしてゆっくり走るちゃお?」
「別にいいちゃお、そのほうが君達も勝てるかもしれないちゃおよ」
「うーん」
カラアゲはその答えに疑問を感じました。
次の疑問を言おうと思ったカラアゲでしたが、おしゃべりできるのはほんの少し、
いまはもう緩やかな坂に入りかけています。
冷たい紺色をした岩の上をペチペチと大またでチャオ達がかけおりてきます。
ここまでくれば残りはそう長くありません。
地面が紺色から茶色の土に切り替わり、S字カーブとなったその坂をチャオ達が残り少ないスタミナでくだります。
チャオのからだの中が沸騰しそうです。ポッポー
坂が終わるともうゴールが見えてきます。
その目のくらむ様に輝いた表彰台をめがけて、ロッカクとカラアゲがラストスパートをかけます。
その前にはスタートと同じように虹色のレーンが、そして落とし穴が!
最後の運試しです。
どちらかが落とし穴にはまらなかったら、木馬のゲットが確定
その確立は4分の3 結構高い!
二匹には、ソニックに怒られないと言うほっとした雰囲気が流れます。
しかし、油断はできません。
思い切ってロッカクはオレンジのラインに、カラアゲは水色のラインを走り出します。
2匹は目をつむりました。
「どうか落ちませんように」
真っ暗な世界
2匹の思い
できるか…おれに