第25話続きの続き
【フライト】「キッド……。もう……。」
【キッド】 「やんちゃ者のカナ。おこりんぼうのルファーグ。いたずらっ子のリム。泣き虫のシア。あまえんぼうのアリカ。熱血漢のキリー。心配性のヒメ。…………そして、勇気ある少年、フライト。」
【フライト】「………………。」
フライト君の涙はしずくとなって、キッド君の頬を打つ。
だがそれは、空からぽつぽつと降りだしてきた雨のしずくとまざって何が何だかわからなかった。
【キッド】 「そう悲しい顔をするなよ。どんなときも笑顔、って言っただろ?」
キッドは、なけなしの体力でフライト君の頬を優しくなでる。
【フライト】「で、でも……。」
【キッド】 「フライト…。せめて、お前だけは……。」
【フライト】「え?」
キッドの口がゆっくりもごもごと動く。
だがそれは声にならずに、雨音の中へと消えていった。
同時に、フライト君の頬を撫でていた手がはらりと落ちる。
【フライト】「ねえ、キッド。寝ちゃったの? こんな所で寝たらカゼひくよ?」
――心臓の音が聞こえない
【フライト】「どうしちゃったんだよ、キッド。悪い冗談はやめてよ。ぼく怒るよ?」
――脈がまったくない
【フライト】「守ってよ、約束。みんなでまた楽しくワイワイやろうよ。ねえ。」
――体がどんどん冷たくなっていく
【フライト】「キッド……。キッド…………」
……………………………。
【フライト】「キッドォォォォォォォォッッッッッッッッッ!!!!!!!!!」
ゴロゴロゴロ……ズガシャーン!
その叫び声は、降りしきる豪雨の中、とどろく雷鳴の中でもはっきりと辺りに響き渡った。
――つづく――
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<次回予告>
「バカヤロウ! お前が行ったからって何になる!」
「ぼくは、なんて無力なんだ……。」
「所詮報われない運命だったのよ、あなたは。」
次回、最終話『僕と、僕らの明日』
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