~第5巻 再会~
ハァ・・・ハァ・・
何時間歩いているのだろうか。足には痣や傷があるのに歩き続けているヴィーズ。 ラインとチョコを持ち抱えたりして歩く。
時よっては走り。 ただ、ずっと見ていても変わらないのは止まらないことだ。 多分、アイツの側には居たくないだけ。少しでも遠くに行きたいと思うその一心で歩き、走る。
物音がしては調達した木の棒を持つ。さっきまでは投げたりしても帰っては来なかった・・・・が・・
ザザザザッ・・・・
ヴィーズ『クッ・・・・』
そういって音のした方に木の棒を投げる。
キーンッ・・・
ヴィーズ『跳ね返された・・・?』
草を退けて、出てきたのは・・・
ヴィーズ『草の精霊・・・?それともバケか・・?』
ヴィーズはアイツから逃げていた間に止まったのはコレが初めてだ。
【お】が最初に付くのは丁寧語だと習ってきたヴィーズは、鬼だって『に』という。何という育ち方だろう・・・。
出てきたのは蔓が絡まっていて、葉も生えている。ヤツだった。
しかもバラが一部咲いていて、刺もきちんと生えている。
どこから生えているのか解らないが根っこが出ていた。髪のように伸び、丁度良い位置に配置されている。
『俺は夜逃げ屋じゃないですぜ。』
ヴィーズ 『夜逃げ屋なんだろ。。。』
『精霊じゃぁないですぜー。』
ヴィーズ 『夜逃げ屋と精霊遣ってたら大変だろ・・・。』
『察しが早いですな! 親父!』
ヴィーズ『親父じゃねーし・・・・まだ。』
他人から見れば怪しい会話。 ヴィーズもさっさと逃げたいと思ったが、名前を聞くまでは会話を続けなければいけなかった。
ヴィーズ『名はなんというんだ・・・』
『俺は氷角。』
ヴィーズは『よし、名を聞いた。さっさと行くか。』と思ったコロには居なかった。
ヴィーズ『なんなんだよアイツはー。。。』
空を見て、再び走り出す。
ーーーもっと力を手に入れる アイツに負けないよう・・ーーー
空に誓い、母に誓う。 そしてライン、チョコに宣言した。
2人を担いで、走り。 休みたくても走り止めずに軽く小走りにする程度だった。
1時間は最低経ったころ。 森の中で1人・・・いや一匹・・3匹倒れた。 ヴィーズ、ライン、チョコ。
ヴィーズは2人を担ぐ力と走る力をいっぺんに使ったので、ヴィーズの体力が6時間走ったらダメになる程度なら、そこに2人を支える力を加える。ヴィーズの体力は走って6時間。2人を支える力を加えると三時間程度しか持たないことになる。
ヴィーズは走れば2時間程度しか持たないのに、ヴィーズは5時間程度アイツから逃れるためにラインとチョコを担ぎ走っていた。
殺されるという孤独と、精神力で走っていたのだろう・・・
『久しぶり。』
冷たく、何処かで聞いたことのあるような声。
草木の間から草をかき分けて出てきたのは 紫色で、目は何もかも見透かすような群青色。右腕には包帯を巻いたチャオが・・
ヴィーズ『お前は・・・・』
『覚えててくれたかしら・・・』
ヴィーズ『誰だ?』
ガクッ・・・っと滑るチャオ。 表情は『ふざけるな!』と語ったように口元がいらだっていた。
『覚えてないのゲールグよ・・・ 覚えてないならいいけど。』
ヴィーズ『あぁ・・・覚えてる。』
ゲールグ『貴方に届けたいモノがあって・・・』
ヴィーズ『なんだよ・・・』
ゲールグ『力と貴方の・・・・』