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キサラは立ち上がって辺りを見回した。
崖の隙間から注ぐ太陽の光で、中は明るい。
ど、キサラの目がある一点を捉えた。
遠くに太陽光では無い光が見えたのだ。キサラはその方向へ足を進めた。
キサラ「あれ…?光が何個もある……誰かいるの?」
言ってみたが、自分の声が反響するだけで、誰かがいる気配も無い。
仕方が無いので、キサラはまた歩を進めた。
眼前にある光が近くなってきたころ、太陽光はもうほとんど届かなかったが、辺りは明るかった。
キサラ「やっぱり…誰か居そうなんだけど……」
「あら?貴方…誰?」
目の前に突然現れたチャオに、キサラは驚き飛びのいた。
キサラ「…!?……だっ誰?」
ノエル「質問してるのは私何だけど…私はノエル。貴方は?」
苦笑しているノエル。どうやらごく普通のチャオのようだ。
先刻から続いていた緊張も、彼女が現れて幾分解れた。
キサラ「私、キサラ。ここはどこなの?」
ノエル「ここは地下世界。こんなところに迷い込んでしまったのね……可哀想に」
ノエルは自分の無力さを嘆くように下を向いた。
ノエル「私にもっと力があれば貴方を上へ連れて行けるのだけれど」
キサラ「帰れるの?どうやって??」
早く学校へ行かなければならない、早く家に帰りたい。
ここから出られる方法があるのなら、聞いておきたかった。
ノエル「ええと…あまり出来ない芸当だけどね……貴方の時を戻せば帰れるかなぁーと思って」
キサラ「私の…時?もしかして貴方…時の能力使えるの??」