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白塗りの壁。白塗りの床。作られた光。

星だけでなく、どこであっても闇は存在している。
光があるから闇があるのではなく、逆であった。
暗闇があるからこそ、明かりがあるのだ。それを辿り、人間はここまで来た。
最初は太陽だけ、今では電気を用いながら自分の行く先を照らしている。
一本道なら一本道であると、確認できる光が欲しい。
どこまで歩けば終点にたどり着くのか、距離が分かる目が欲しい。
これは、俺の目で見て目で歩いた記録である。

ゴツい椅子に座り、両足を縛られ、両手を膝の上で縛られている。
出口という概念はこの部屋には存在するのだろか。
横と前を確認する限りでは、この白い部屋にはそんなものは無い。
斜め上に監視カメラのようなものが確認できる。そのお陰なのか、やがて壁に穴が開く。
横に開いていくかのような、その穴。三人くらいの男が入ってくる。
何も言わずに、男が手元にあるスイッチを操作する。
電気のような鋭い痛みが走り、男の声が直後に聞こえる。
「これは実験だ。自分に打ち勝てるかの実験。24時間以内に自分が作った壁、3人の男を殺せ」
そう言うと、先ほどの痛みで脱力している椅子の上の俺の前にとある装置が取り付けられた。
両脇に肘かけのようなところにポッカリ開いている、空洞にその装置の一部が固定されている。
俺の胸の前に、無数の針が纏め上げられて一種の針になっているものがある。
再び男がスイッチを押すと、その無数の針は装置と一緒に回り始める。
そして、何故か足と手にあるロープをナイフで切られる。同時に、体の至るところに付けられているテープのようなものを取る。
抜け出そうとしても力が入らない。電気椅子らしく、先ほどの痛みは電気によるものだった。
軽めなはずだが、俺はどうも動けない。
椅子の肘掛の先端に手を伸ばし、スイッチを押す。装置のお陰で死角になっているようだ。
一つではなく、両方に二つ。一つずつある。
それを押したと同時に無数の針の回転は停止した。
「この装置は回転を開始し、24時間経過するとその椅子の胸の部分にまで到達するように移動する。
これからお前を眠らせる。もしかしたら眠りから覚めないかも知れない。
だが、可能性はあるにはある。夢に3人だけ出てくる、男を殺せ」
そこまで聞き取ったところで、目をつぶってしまった。意識が遠のく。何もしたくなくなる。
その時に水と何かを飲ませられた。正直、無意識に飲んでしまったことが情けない。
この感覚は毎日味わっている。そうだ、眠気だ。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第221号
ページ番号
1 / 9
この作品について
タイトル
「マリオネット」
作者
Sachet.A
初回掲載
週刊チャオ第221号