第一話

空は青く澄みきって、鳥の歌声が聞こえるようなすがすがしいある朝のこと。
マイルス・パウアーことテイルス君は、今朝も寝坊してしまいました。
「ふわああああ・・・眠いなあ。
昨夜もトルネードの調整で遅くなっちゃったからなあ」
そう言って外に出て顔を洗っていますと、
家の前の丘の上に、小さな黄色い何かが落ちているのが見えました。
自分と同じ色をした何かに興味を示し、
テイルスはそれに近付いてみました。
「これ・・・なんだろう?」
よく見てみるとそれは、人のような形をしていました。
そこでテイルスは、その物体の腰と思われる部分に手をやって、
抱き上げようとしました。
するとどうでしょう。その物体はまるでくすぐったがるかのように
体をくねくねしました。
テイルスは、ちょっとビックリして手を離しましたが、
その物体はうつぶせになっているのではと考え、
体を回してみました。そして、その顔を見て、ビックリしました。
なんとその物体は、自分とそっくりのチャオだったのです。
テイルスは本当にビックリしました。3本の前髪、
白い胸の毛、極めつけは2本の尻尾。
どれをとってもそっくりなのです。
そのチャオは怪我をして気絶しているようでした。
「大変だ!急いで手当てしないと!」
テイルスはそのチャオを自分の工房に連れて行きました。

怪我の形をよく見てみると、どうやら銃弾の跡のようです。
「一体誰がこんなことを・・・それに、このチャオは一体・・・」
などといろいろ考えながら手当てをしていると、誰かがドアをたたきました。
「よう、テイルス!もう起きてるか?」
ドアを開けると、そこにはソニックがいました。
「おはよう、ソニック」
そう言うと、ソニックはあきれた顔で言いました。
「お前の言う『おはよう』は何時までなんだよ?もう午後の1時だぜ?」
「エヘヘ、ごめんよ、ソニック。そうだ、聞きたいことがあるんだけど」
テイルスは、ソニックを手当てが済んだチャオのところまで連れてきました。
「こいつは・・・なんだ?」
「どうもチャオみたいなんだけど、こんな姿のやつは見たことが無いんだ。
ソニックなら知ってるかと思ったんだけど・・・」
ソニックはあごに手を当ててうつむきながら言いました。
「俺にもよくわからないけど、ただひとつ言えるのは・・・」
「言えるのは?」
テイルスがソニックの顔を覗き込むと、ソニックは笑って言いました。
「お前にそっくり、ってことだな」
「もう!ソニックってば!」
ソニックが笑うと、テイルスも笑い出しました。
そう、二人はまだ、そのチャオにまつわる冒険の物語が始まるなんてこと、
知るよしも無かったのです・・・。

第二話に続く・・・

このページについて
掲載号
週刊チャオ第3号
ページ番号
1 / 16
この作品について
タイトル
マイルス君の珍妙な一日
作者
マッハ(服部)
初回掲載
週刊チャオ第3号
最終掲載
週刊チャオ第22号
連載期間
約4ヵ月14日