1話 【勇者と(自称)魔王 前編】
~とある山~
登山チャオ「この山きついな~(汗)」
護身用の短剣を持ったチャオが、とある山を登っている。ぶつぶつと文句をたれながら登っていくと、洞窟が見えてきた。
登山チャオ「おっ!あそこで休んでいこう」
そういって、軽やかな足取りで洞窟までたどり着くと、鼻歌を歌いながら中に入っていった。
すると、中にチャオのような影があった。
登山チャオ「誰かいるのかな?おーい!」
叫んだあとで、変なことに気づいた。そのチャオは、大きくなったり小さくなったりしている。そして、何かをぶつぶつと唱えている。
そこまで大きな変化は無いのだが、それでもはっきりとわかるほどに、大きさが変わっている。そして形も・・・・・・
登山チャオ「うぎゃああぁぁぁぁ!!!」
そう叫んだ彼(登山チャオ)は、短剣を投げつけ、ものすごいスピードで山をかけ下りていった。
???「ちぃっ!」
???は、短剣をはたきおとしたが、集中力が切れ、呪文が途切れてしまったようだ。
???「(自称)魔王の俺があんなことで集中力を切らすとは・・・。また最初からやりなおしか・・・」
とつぶやくと、また呪文を唱えだした。
そのころ、登山チャオは・・・・・・
登山チャオ「ゆ、勇者様~!」
あまりにもタイミングよくふもとの町に来ていた勇者のもとへ走っていった。
???(勇者?)「なんだ?」
登山チャオ「と、トール様!も、も、申し上げます。暗黒山に、ば、ば、化け物が!」
と、ゼエゼエとあえぎながら言う。かなり疲れたようだ。
その上、傷が無数にあるところを見ると、思いっきり転んだらしい。いまさらだが、あの山は暗黒山というようだ。
トール「何!それは本当か!?」
トールは目を子供のようにきらきらとかがやせながら言う。
登山チャオ「はい。大きさや形が変わりまくっていた化け物です。わたしにビームを撃ってきました」
ハアハアいっていたのがおちついてきた登山チャオが、ありもしないことを交えながら言う。
トール「はっはっはっ!そんなやつ、この俺が粉砕してくれる!」
NPP(ニュートラル・力・力)のトールが、ハンマーを振り回しながらいせい良く叫ぶ。
登山チャオ「あ、あの、トール様のお仲間は?」
登山チャオがおずおずと聞く。
トール「なんだ?俺一人では無理だとでも言うのか?あの魔王、タキシスを倒した俺が?」
トールが冷ややかな口調で言う。
登山チャオ「い、いや、それは、あの・・・・・・」
登山チャオがもごもごという。それはそうだろう。トールは、魔王が眠っている間に深手を負わしてから戦ったらしいからだ。
トール「仲間はそれぞれの故郷に帰った。今いるのは俺だけだ・・・ん?そうでもないかもな。」
登山チャオ「ほ、本当ですか!?」
登山チャオはうれしそうに叫んだ。しかし、トールがにやりとして登山チャオをみつめながらあることをいうと、登山チャオの笑顔が凍りつく。
トール「おまえだ。」
そういうと、登山チャオを引きずりながら、高くそびえる暗黒山に向かっていった。