KOKORO

僕はその人の横に座った。
そしてお礼を言った。

―ありがとう。

って。
その人は頷くだけだった。
夕日を眺めたまま。
綺麗な目だった。
バライタグリーンみたいな、綺麗な目だった。
よく見るとその人は。
傷だらけだった。
長袖の軍服の下に、見え隠れする。

―私は此処の景色が好きだからな。

その人の目は。
綺麗でも何故か怖かった。

―僕の名前はメタルスコーピオンです。
 ・・・あの・・・どうして僕なんかを助けたんですか?

その人は体を前後に動かしていた。
そのまま後ろに倒れて枝にぶら下がった。
それでも表情は変らず、夕日を眺めている。

―私の名はガイア。
 傭兵だ。

ガイア。
母なる大地を意味する言葉。
そういえば聞いた事がある。
ミスター戦争(ウォーズ)と言われるほど強い人が居るって。
そして殺しのプロだと。
そのガイアは、今、木の枝にだらんとぶら下ったまま夕日を眺めている。
とても殺しをしているとは思えない、綺麗な瞳で。

―私が君を救ったのは、生きたいと言う思いが感じられたからだ。
 それ以外の意味は無い。

僕は生きたがっている?
意味が分からなかった。
何度死にたいと思った事か。
何度生きる意味を考えてきた事か。

―僕は、生きたくない。
 こんな体で生きるなら死にたい。

そう言った途端、
ガイアはぶら下っている状態から一気に回って枝の上に着地した。
そして僕にナイフを向けた。

―なら殺してやろうか。

いきなりの言葉に行動に、僕は動く事すら出来なかった。
僕、本当に死ぬんだ・・・。
そう思うと、なんだか哀しくなってきた。
おかしいな。
エッグマンの時は、なんとも思わなかった。
のに、なんで。

―・・・。

ガイアは無口でナイフをベルトに収めた。
どうしてだろうか。

―君は今、悲しくなっただろう。
 それは君が死ぬのを拒んでいる事と同じなのだ。
 君が森を守ろうとしたのは、これ以上生きる邪魔をされたくなかったからだ。
 そうでなければ、君は森を護る事無く死んでいただろう。

僕は言い返せなくなった。
そうだろう。
いや、その通りだ。

―辛かっただろうな。
 哀しかっただろうな。
 けど、私も同じだ。
 辛かった分、哀しかった分。
 あとでいい事が起きるだろうな。

 !
 そろそろ行かなくては。

そういうとガイアは20メートルはある木から飛び降りた。
軽やかに着地し、そのまま森に消えて言った。
さようなら。



僕は生きる。
また、辛い思いをするかもしれないのに・・・。

でも、大丈夫。

私は強く生きる。
僕自身のために。

大丈夫。

そして、
ありがとう。

今は、それしか言えない。

でも、
僕は、もう大丈夫。

1人の傷ついた少年が、生きるわけを知った時だった。

FIN

このページについて
掲載号
週刊チャオ第296号
ページ番号
2 / 3
この作品について
タイトル
KOKORO
作者
カオスソーサラ(メガライア)
初回掲載
週刊チャオ第296号