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ッキキー
急ブレーキを踏んだ大きな音が聞こえて・・・
前から車が突っ込んできたのが見えて・・・
その後私が目覚めたときにはもう自分が誰なのか分からなかった――――。
記憶のかけら
「記憶喪失ですね。」
医師からそう放たれた言葉は私を一人ぼっちにしてしまった・・・
暗い病院の部屋の中に少女は独りぼっちだった。
少し前ならば一緒に遊んだ友達なども・・・何も分からない。
少女は本当に独りぼっちだったのだ。
何を考えても出てくる答えは絶望的。
何かをしようとしても何もする事が出来ない・・・
面白い事をきいたりみたりしても・・・笑う事が出来ない。
自分自身が誰で・・・どんな人間なのかも分からない。
ああ・・・私は一体どうなってしまっているのだろうか・・・
暗い部屋は夜を迎えますます暗くなったが、少女の気持ちはその部屋よりももっと暗かった。
「もう寝よう・・・」
これ以上考えてもどうにもならない・・気分はますます暗くなるばかりだ。
少女はそう考えながら布団を引っ張った。
毛布に包まって目をぎゅっと瞑るが眠い気はしない・・・
むしろよけいに眠くなくなってしまう・・・
「お願いだよ・・・眠らせて・・・」
コレ以上絶望ノ世界ニヒタリタクナイカラ――――
少女はすがるようにそういった。
これ以上何か考えると自分の存在が嫌になってしまいそうで・・・
この世界からきえてしまいたいような感情をもってしまいそうだから―――。
ガチャ・・・
その時彼女を絶望の世界からすくうべく、静かな部屋の中にドアを開ける音が響いた。
「誰・・・なの・・・」
少女は消え入るような声でそうきいた。
だが返事はない・・・
「誰・・・誰なの・・・」
少女は久々に得体のしれない物に恐怖を感じだ。
震える手でそっと電気のスイッチを入れる。
一体いつからつかっていないのか・・・たくさんの埃がついていたが。
パチン。
スイッチをいれて明るくなった病室に映し出されたシルエットは2頭身の真っ黒い体をもった
小さなダークチャオだった。
そのチャオはしばらくの間少女のほうを見つめていたがやがて少女のベットのそばまで走ってきた。
「あ・・・危ない・・・」
少女がそう言った時にはもう遅く、チャオは引っ張ってあるコードに足を引っかけてそのまま床へとダイブした後だった・・・。
頭の上のポヨをグルグルにして顔面を直撃しているチャオをみて少女はため息をつき、
チャオをそっと抱き上げた。
「まったく・・・今度から気をつけるんだよ~。」
少女はチャオについた埃をはらいながら笑みをこぼした。
これには少女自身もびっくりした。
今まで何をみても笑う事が出来なかったのに・・・
このチャオを見ただけで自然に笑う事が出来た。
少女自身不思議なかんじがするが、なんだか懐かしい感じがしたのだ。
「ねぇ・・・君はなんて名前なの?それどこからきたの?」
チャオがしゃべるわけがないのはわかっていたのだが、少女はなんとなくそうきいてみた。
答えないとは思っていたのだが・・・なんとなく今にでもチャオがこたえてくれるような気がしたから・・・
チャオは少女のその言葉を聞くとそこらへんに散乱していた紙と鉛筆をにぎって大きな字でかきつづった。
”リルダ”
まずこう書いてチャオは自分の体を指差した。
どうやら名前を言ってるようだ。
次の紙には森のような絵をかきつずった。
「・・・・」
少女はちょっと考えて口を開いた。
「君・・・リルダっていうんだね。森から・・・ってことは迷子かな?」
少女が首をかしげるとリルダはふるふると首をふった。
「違うの・・・??でもよくわからないや・・とりあいず寝ようか・・・?」
少女がそう問い掛けるとリルダはうれしそうに少女に飛びつき、布団の中にすっぽりと包まった。
「ふふふ・・・可愛いvv」
少女はまたにっこりと笑みを漏らすとスヤスヤと眠りについた
続く☆