前半
2005年
僕は大事なものを失った。
それは・・・・ある夏のこと・・・・・・
1987年
あの時僕は高校生だった。別に頭は良くなく運動神経も良くは無かった
普通の生活を送っていたのだ。あの日まで・・・・・
僕は『愛莉』という女の子が好きだった。
愛莉は女子から男子まで人気があって、かわいくて、少し気の弱い部分もあった。
僕が愛莉と一緒に代議員をやっていた。そしていつも僕が朝、教室のドアを開けると、愛莉が「これ、今度あなたの番だからよろしくね。」
っと言って日誌を渡してくれた。
正直、毎日きてくれるのが嬉しかった。
そして梅雨の時期に入って中間テストも近づいてきたころ、愛莉の大親友が病気で亡くなった。愛莉は3日間学校に来なかった。
もちろん僕は寂しかった。
そして愛莉は葬式の答辞を読むことになった。
そしてやっと愛莉は学校に顔を出した。
その時の愛莉はとても悲しそうな顔をしていた。
それを見て僕が声をかけると、愛莉は無理して笑顔でふるまっていた。
本当は愛莉は泣きたくて泣きたくてしょうがなかったと思う。
それを笑顔でふるまうなんて愛莉は強い女だ。
そして葬式当日。僕は震えている愛莉を見つけ、「大丈夫?」と声をかけた。すると愛莉は涙を拭いて、「うん。平気だから。」と言って
僕から離れる。
僕は、愛莉が心配でしょうがなかった。
そして僕が愛莉を探していたら、友達にあった。
そして友達は
「あいつマジで死んじまったぜ。あ~ぁ可愛そうになぁ~」
といっていた。僕はカチンときて友達に
「本気で悲しんでいるやつがいるのにそんな態度をとるなぁ!」
と思いっきり怒った。
自分でもビックリした。そのあと友達とは無言になり、そのまま、僕は逃げてきた。
きっと僕は愛莉のことを思っていったのだ。
そして葬式が始まった。
亡くなった友達と親などが泣いていたのに、愛莉は泣かなかった。
そして愛莉の答辞が始まった。
「○○へ あなたといた時間が短く思え・・・・」
僕は真剣に聞いていた。
愛莉は時々がら声になりながらもがんばって最後まで読んでいた。
愛莉の言った言葉の一つ一つが僕の胸に刺さってくるのだった。
読んでいたときの愛莉の顔はとても凛々しく、カッコ良かった。
葬式が終了した。
僕はすぐに愛莉のもとへかけつけた。
愛莉は大粒を流していた。
僕はそっと愛莉を抱いて
「カッコ良かったよ・・・・」
と言った。愛莉はうれしかったのか、僕の服をギュッと掴み声を出して泣いた。
その時僕はすごく泣けてきた。
愛莉のがんばりように。
そして梅雨もあけてきたころ、僕は実家にいた。
実家は愛莉の家に近かった。
そして時々愛莉と近くの海で遊んだ。
その時の愛莉はとても綺麗で見とれるくらいだった。
そして僕が見ていると愛莉は何?という感じで首をかしげていた。
そして何日かたったある日、僕は愛莉に誘われた。
愛莉が連れて行った場所は、近くの山の辺りの、あじさい畑だった。
そして愛莉は頬を赤く染まっていた。
僕が「何?」と尋ねると、愛莉は足をくるくる回して、えへへ・・・ww
という感じでなかなか会話が弾まなかった。
そして何分かたった時、愛莉が顔を僕にむけ、僕の目をじぃっと見ていた。僕は少しドキッとした。
そして愛莉が口を開いた。
「・・・・あのね、私・・・私・・」
すごくモジモジしていた。僕には可愛く見えた。
そして愛莉から好きという言葉が出た。
僕はもちろん、付き合うことにした。
『好き』という言葉が僕にとってのスタートの言葉だった。