仮面チャオダー

ダークガーデンのはるか彼方に見える、ちょっちぶきみなお山。
その一角に、チャオワールド征服をもくろむ秘密結社、チャッカーのアジトがあった。
チャッカーは、色んな生物の遺伝子をチャオに組み込み、改造チャオを創っていた。それで、チャオワールドの支配を目指していた!
(嫌な表現だなあ、改造チャオって。)

そして今、一人のチャオが改造室に連れ込まれた。
アイキュウ660の天才チャオ、チャケシである。
チャッカーは今までの改造技術の粋を集め、このチャケシにバッタの遺伝子を組み込もうとしていた。
「や、やめろちゃお~、チャッカー。ぶっとばすちゃお~。」
突然、改造室の電気が消える。
チャケシのアイキュウ660の負荷に耐え切れず、ブレーカーが落ちたのだ。
「!今ちゃお!」
チャケシは、チャッカーのアジトから逃げ出した。
「に、逃がすなちゃお~。」


数時間後、チャオガーデンのお池のふちに、チャケシは立っていた。
お池の水面に映る、一人のチャオ。
お手手や頭の先が緑色の、全身水色のチャオ。
しかし、その肉体には、恐るべきチャッカーの改造手術が施されているのだ。
この先ボクは、…、いや、ボクのような犠牲者をこれ以上増やしちゃいけないちゃお!
「どうしたのちゃお?」

いつの間にかお池の水面には、もう一人のチャオが映っていた。
チャケシは振り返った。
チャケシは、はっとする。
な、なんてかわいいチャオちゃお。ボクは今まで、こんなかわいいチャオを、見た事無いちゃお…・

「きゃ~。ちょっと、なにするんですちゃお~。」
チャケシはいつの間にか、繁殖ダンスを踊っていた。
「は、すみませんちゃお。あなたのようなかわいいチャオを、初めて見たものでしてちゃお…。」
チャケシは、頭の上にハートを浮かべたまま、しどろもどろに答える。
「か、かわいいなんてそんな。嫌ですちゃお。そんな本当のこと、言わないで下さいちゃお!」
その受け答えに、チャケシはまたまた胸の鼓動が高鳴る。

ほ、本当のことちゃおって?そゆこと自分で言うちゃおか?
な、なんて自分に正直なチャオちゃお。

チャケシは繁殖ダンスを踊ろうとしていた。
「ちょ、ちょっと!あ、アレ、アレを見てくださいちゃお。」
そのチャオの指差す先に、一匹の小動物がいた。
「あ、あれはラッコちゃおね。」
頭の上にハートを浮かべたまま、チャケシは答える。
「ラッコをキャプチャーして覚えられる仕草は、えっと…。」
このかわいいチャオは、なんとか話題を作ろうとしていた。
「ラッコで覚える仕草は、…、どんな硬い木の実も、叩き割って食べることが出来るちゃお!」
チャケシの頭の上には、ハテナマークが浮かんでいる。
「す、すごいちゃお。あなた天才ちゃお!」
おそらく当てずっぽうだろうけど、そのかわいいチャオはそう答える。
「い、いや~、ボクはアイキュウ660ちゃお。そんな天才じゃないちゃお。」
「!す、すごいちゃお。アイキュウ660ちゃお?」
かわいいチャオは、そのでたらめな数値に驚いてみせる。
「いや~、それほどでも。あ、ボクはチャケシといいますちゃお。」
(ふう、やっと名前が書ける…)
かわいいちゃおは、ちょっち戸惑ってから答える。
「私はチャリア。よろしくちゃお。」
チャリアさん…。なんていい名前ちゃお。ん?
またまた繁殖ダンスを踊ろうとするチャケシだが、ふと、さっきのラッコが近づいて来るのの気が付いた。
ラッコは、手にした貝を振り上げる。
「あ、あぶないちゃお!」
「きゃ~!」
チャケシは、チャリアを押し倒す。ラッコの振り下ろした貝が空をきる。
「な、何するんですちゃお!」
「チャリアさん、こいつは普通のラッコじゃないちゃお!」
「え?」
チャリアは改めてそのラッコを見る。そういやどことなくチャオくさい。??
「ここはボクにまかせて、チャリアさんは逃げるちゃお!」
戸惑うチャリアにチャケシが叫ぶ。
「ラッコじゃないちゃおね、ラッコじゃないちゃおね、きゃ~~!」
チャリアは、チャオガーデンから逃げ出した。

対峙するチャケシとラッコ。
「お前は、ただのラッコじゃないちゃおね。さあ、正体を現すちゃお!」
「ふっふっふ。よこぞ見破ったちゃお。」
なんと、そのラッコが突然しゃべりだした。
「さすがはチャケシ。いや!仮面チャオダー!」
「!その名を知ってるちゃおとは。貴様、チャッカーの改造チャオだなちゃお!」
「いかにもちゃお!オレはお前を抹殺しにきたチャッカーの刺客。ラッコチャオちゃお!らっこらっこ。」
ラッコは、その正体をあらわにした。
「おのれちゃお~。お前、その語尾おかしいちゃお。」
ついにチャケシの前に、チャッカーの追っ手が現れた。
しかもその追っ手は、チャケシと同じ改造チャオだった。
相手も元は、普通のチャオ。しかし、チャケシとは違い、思考までも完全に改造手術を受けていた。
「ち、くそ~。やるしかないちゃおか。」
チャケシは、ベルトの風車に風力を与えた。その時チャケシは、仮面チャオダーに変身する!

このページについて
掲載号
週刊チャオ第117号
ページ番号
1 / 2
この作品について
タイトル
仮面チャオダー
作者
あさぼらけ
初回掲載
週刊チャオ第117号