1話 開放
・・・何も無い真っ白な空間。
どこまで行けば果てがあるのか、そもそも果てなど無いのか、それすらも分からない空間。
その空間の真ん中には一匹のチャオが、正確には一匹のチャオの意識が横たわっていた。彼の名はカイト。百年前に起きた戦争で活躍し、英雄と言われているチャオ。
カイト(ここはどこだろう・・・僕は今・・・何をしてるんだろう・・・)
答えの返ってくるはずの無い自問を百年もくり返しているカイト。
その時、何かの声がした。
「目覚めろ・・・カイト・・・」
その声が消えると同時にカイトの意識は蒼い炎に包まれ、小さな蒼い玉になった。
不思議な事に熱くない。
その小さな玉はどこかへと転送された。
・・・山に囲まれた小さな村。
チャオたちがのどかにくらしている。
その村は英雄の故郷と言われていて、外れの洞窟の奥には英雄が封印されている、という伝説がある。
その洞窟の一番奥には鎖でがんじがらめにされた棺桶がひとつ、立てて置いてあった。その前にはチャオが一匹。
そのチャオの姿は緑色のNPPの姿をしているが、普通のチャオよりもう少し大きい。
???「カイト・・・お前はいつになったら目を覚ますんだ・・・。」
???はそう呟くと洞窟から出て行った。