7話 ~驚愕の事実~
二人が研究室についたころ、研究所内は慌てていた。
そして珍しい発見をしたと言わんばかりに満足げな顔をして一人の研究者らしいチャオがいた。
「君がこの石を持ってきた・・・リディア君だね?私はハール。研究室の主任だ。」
「リディアです。コロニー隊の一員です。よろしくおねがいします」
「この石を調べさせてもらったが・・・」
ハールはちょっと間をおくと、二人を奥の部屋に来るように言った。
顔が少し険しくなってるのがリディアとウェルナーにもわかった。
「この石なんだが・・・」
「ええ、なんでしょう」
「・・・カオスエメラルドと非常によく似ている」
「カオスエメラルドって、あの・・・、昔Dr.エッグマンが集めて世界制服をしようとしたときの・・・」
「そうだ、ものすごく昔の話だがあの話は伝説ではない。かつてこの地球に実際に起こったことなのだ。」
「詳しく教えてくれませんか!?」
「うむ、カオスエメラルドは非常に強い力を持っているね。この石にもカオスエメラルドほどではないがかなり強い力があることがわかっている」
「でも!カオスエメラルドは伝説の上ではシャドウとともに消え去ったはずでは!」
「・・・勘違いしないでくれたまえ」
「え?」
「カオスエメラルドはあれだけではないのだ。この石もその例には漏れないがね。当時、カオスエメラルドと似た性質の石はいくつかあったのだよ」
「というと?」
「"テイルス"というのは知っているな。実はあのテイルスがエッグマンをだますためにカオスエメラルドと同じ波長をもった石を使って爆弾を作り、エッグマンの野望を阻止しようとした事が記録にある。
・・・失敗したらしいが」
普通なら世紀の大発見とでもいうべきことだが、ハールはそんなに驚いていなかった。
むしろ、冷静さもうかがえる。
「それからもう一つ。この石はおもしろい特別な性質を持っている。
なんとこの石の構成成分から、石なのに『記憶』ができることが発見された。」
「生き物なんですか?」
「生き物ではない。だが記憶ができる石は初めてだな。だが、記憶のできる不思議な波長を持った石・・・。
明らかに普通の石ではないな。」
「?? 石と記憶と何の関係が?」
「簡単に説明しよう。たしかにこの石は記憶ができるが、生き物ではないので考える事が出来ない。
つまり、覚える事はできても覚えるものが入ってこないので結局は無用の長物なんだ。」
「あ、わかった!」
ウェルナーが声を上げた。
「つまり、あの人形達はカオスエメラルドと似た波長を持つ石を動力にして動いてるんだ!
さらに記憶ができるということは人形にあわせてプログラムを記憶させれば完全な偵察隊にも兵器にもなる・・・
そういうことでしょう?」
「そうだ。その証拠にこの石は戦闘プログラムと思われるものが記憶されていた事もわかっている。君達を襲ってきた人形はきっとこの戦闘プログラムによって攻撃してきたんじゃないのかい?」
「そう考えると話はつくな」
「だね・・・」
石の真実について少しわかり、どうしたらいいのか途方にくれる二人を前にハールはこういった。
目はかなり真剣である。
「君達、これから任務でトールマウンテンにもう一度いく予定はないかい?」
「今のところは無いですね」
「そうか。ではドルス少佐に頼んでおくよ。人形の持っている石を回収できたらして欲しいと、ね」
「何に使うんですか?」
「研究だ。これで上手く研究が進めば奴等に対抗できる力を得られるかも知れん」
ハールは本気でそう思っていた。
あの石を研究して全てがわかれば逆に人形を作ることも可能なのではと考えたのだ。
事の重大さは二人にもわかっていた。自分がいまどうするべきなのか。
それも二人にはわかっていた。
「ハールさん、僕たちもう一度トールマウンテンに行きます。行って、石を集めてきます」
「そうだな。石さえ集まれば研究も進んで対抗できるならやって損はねぇよな!」
「少佐には僕たちから言っておきますので、ご心配なく」
「そうか、ではくれぐれも気をつけてな。私にはこのくらいの言葉しかかけてやれんが・・・」
二人は研究室を出るなり、ドルス少佐を探していた。
しかし見つからないのでコロニー隊事務所に戻って話を聞こうということになり、戻って話を聞こうとした。
「少佐なら作戦会議のために出張してます」
「そうですか、いつ戻ります?」
「おそらく明日には戻るかと」
「じゃあ後は少佐が戻るまで待つだけだな」
「・・じゃあ暇だからちょっと町のほうへ行ってみようか」
「たまにはいいかもな」
二人は本部を飛び出し、町へ出かけた