序章 到来
ここは地球。多種多様な動物と人、そしてチャオが生きているところである。
それは2XXX年、満月の夜のこと。その日は、1000年に一度みられるかどうかという、満月としし座流星群が同時に見られる、そんな歴史的な日であった。
もう、真夜中の十二時を過ぎているというのに、世界中の大人たち、いや、世界中の人たちは夜空を見上げていた。眠い目をこすりこすり、満月のある夜空を見上げ、歴史的な夜空のショーがはじまるのを、今か今かと待ち構えていた。
不意に、星の一つが瞬いたかと思うと、次々に星が流れ出した。世界中の人は、そのあまりの美しさに目を奪われ、しばらくすると拍手する人まで現われた。
しかし、ショーはそれだけでは終わらなかった。流れる星が、一つ、また一つと地球めがけて落ちてきたのである!あまりのことにぽかんと口を開け、しばらくそこに突っ立っていた人々は、やっと事情が飲み込めたのか、急いで避難し始めた。
ここは、日本のある古い家。ここには、早くに子供と夫を亡くしたおばあさんが住んでいた。
「最近はトイレも近くなって・・・おいたものだのう、わしも。」
キラッ
「ん?今のはなんじゃろう?」
ドゴーン・・・
「ぎゃぁ!」
外に出たおばあさんの目の前に、流星群の一つが降って来たのである。
パリッ・・・パリパリ・・・
流星群は、まるで卵の殻を破るように割れはじめた。
「・・・・?」
パリン!
「・・・チャオ?」
中から出てきたのは、体は白く、大きな翼を持ったチャオだった。
「・・・おまえは・・・チャックルか?」
「あなたは・・・ユキちゃんチャオか?」
「おお・・・チャックル、チャックル!」
チャックルは、おばあさんが15才の頃から、一緒に暮らしていたチャオである。しかし、チャックルはチャオだけに感染する原因不明の、「チャラスキン」におかされてしまい、おばあさんが17才の時にこの世を去ったのである。そのときのショックが忘れられず、おばあさんはその時からずっと、チャオと暮らしていないのである。
「ユキちゃん、僕はどうしてここにいるチャオか?」
その頃、同じ日本のとある家にも同じ事がおこっていた。
「チャオ、チャオ~♪彩花、僕と遊ぶチャオ~♪」
「もう、うるさい!チャチャ、もう少し静かにして!」
つい先ほど、このチャオも彩花の家にやってきたのである。
チャチャは、一ヶ月ほど前、交通事故でこの世を去ったのである。
「そういえば、僕はどうしてあんな中から出てきたチャオ?ん~、記憶がまったくないチャオ~。」
チャチャは、事故の記憶がないのであった。
彩花は、チャチャを無視するようにテレビをつけた。
ニュース番組だった。チャンネルを変えようと、リモコンに手を伸ばした彩花は、すぐに手を止めた。
「ただ今入ってきましたニュースです・・・歴史的な夜空とうたわれた今日、しし座流星群のいくつかが地球に落ちてくるという事件が発生いたしました・・・詳しい原因はまだわかっておりません・・・また、中から昔にこの世を去ったはずのチャオが出てきたという通報もあります・・・繰り返します・・・」
「・・・・」
「彩花、何見てるチャオ?おもしろい番組チャオか?」
「チャチャ・・・あなたに伝えなければいけないことがあるの・・・」