第5話 初めての戦い!!!!
なにはともあれ勇者の剣を手に入れたソニクサ。
今、彼の冒険が幕を開けようとしていた!
「敵襲~~!!」
冒険に出るまでもなく城に敵が侵入してきた。
兵士チャオたちが敵の侵入を報告しながらぶっ飛ばされていく。
敵襲だと叫ぶチャオたちはさながらガトリング砲の銃弾のように飛んで謁見の間の壁に叩きつけられる。
敵はかなり強いみたいだ。
「フハハハハ!! どうした雑魚ども!! 城を守る兵隊がこの程度とはなあ!!」
城に攻め入ってきた敵とはダークチカラチャオだった。
しかも一人だけで、味方の気配はない。
武器すら持っていない様子だった。
どうやら手勢もなしに一人の腕力だけで侵入してきたのだ。
「俺の名前はナグ・ケール! 最強の座に就く者だ!! 全ては俺の思うがままに破壊と再生される! まずは王を討ち取りこの王国を俺のための王国に作り変えてやる! ガハハハハ!!」
見た目は可愛いチャオなのに言葉遣いが酷いなあ、とソニクサは思った。
「おのれ! 騎士団長アイちゃんがその首を叩き落してやる!」
槍を持ったヒーローオヨギチャオ、アイちゃんがナグの前に躍り出る。
そして槍から氷の魔法を出す。
「凍てつくは悪しき魂! 凍槍アイスランス!」
アイちゃんが槍を突き出すと、その先端から氷で作られた槍が放たれた。
だがナグは狙われた上半身を前方に倒しながら回避した。
ボクシングのダッキングの動きだ。
前のめりになった勢いのままナグは素早くアイちゃんに迫る。
「くらえ! ぐるぐるパンチ!!」
ナグはアイちゃんを思い切り殴った。
するとアイちゃんはものすごい勢いで飛ばされた。
この恐ろしい腕力に誰も歯が立たず、ここまで侵入を許してしまったのだ。
大臣チャオが叫ぶ。
「王様! それに勇者ソニクサ殿! ここは逃げましょう!」
「その判断、かなり遅くね?」
ソニクサは思ったことをそのまま口に出した。
逃げるならもっと早くにアイちゃんのような戦力も携えて逃げるべきだ。
戦える者がほとんど残っておらず、さらに目の前に敵がいる状況では逃げようにも逃げられないだろう。
「おーけー、しょうがない! ここは俺がこいつを倒すしかないな!」
ソニクサは勇者の剣を抜いた。
「ふん、勇者だかパンダだか知らないが! 俺に勝てると思うなよ!」
ナグは腕をぐるぐると回転させてバトルエナジーを溜める。
普通の人間なら腕をぐるぐるさせたところでパンチの威力は上がらない。
だがこの生き物たちはチャオである。
チャオは溜めることを得意とする生き物だ。
小動物のキャプチャによる永久的な力の向上が最たる例である。
だがキャプチャに限らず、このような些細な振る舞いからも瞬発的な力を溜められるのだ。
「くらえ、ぐるぐるパンチ!」
「うぇるかむ! 素手で剣に勝てるわけないんだよ!」
剣を持っている分、リーチはソニクサが有利だ。
リーチ差を活かしてソニクサは危なげなくナグの手を斬った。
「いえすっ! 俺って意外とすごいのかも」
「なにがすごいんだ?」
ナグは平気な顔をしていた。
その手は綺麗に二つに切れているのに、少しも痛みを感じていない様子であった。
「え~~っ!? なんで~~~~っ!?」
つづく!!!!
初めてのバトル、どうなるのでしょうか!?
次回をお楽しみに!!
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