+++ヒーローガーデンのヒミツ 2+++

3人は、尚通路を進んでいきます。
足取りは、始めよりも少し足早に、先にある何かに期待を寄せて。
シエル「ながいのぅ」
ハピル「結構歩いたかも」
通路は長く、まだ先は見えません。
疲れが見え始めていました。
ルスト「大丈夫か?」
シエル「だいじょーぶー」
シエルは体力がある為、一番元気です。
ハピル「そーいってるルストが一番疲れてるんじゃないの?」
ルスト「いや、そんなことは」
ハピル「あるじゃない、そーいう何でも平気だって我慢するのよくない癖だよ」
周りが見えない為、ルストの表情は見えなかったけれど、きっとそっぽを向いて少し顔を赤らめているのでしょう。
動揺か恥ずかしさか少し声が揺れていました。
ルスト「……そ、うか」
ハピルはくすりと笑いました。
ハピル「もう少しで着くと思うよ、がんばろ?」
ルスト「…そうだな、行こうか」
シエル「しえるもいくー」
3人はまた歩き始めました。

ハピル「…あれ?」
周りが少しずつ明るくなってきました。
ルスト「出口が近づいてきた証拠か」
シエル「あかるーい」
辺りは進めば進むほど明るくなっていきます。
ルスト「あれが出口か」
ハピル「早く行こうよ!」
ハピルはルストとシエルの手を引き、走りました。
シエル「はわゎっ」
ルスト「あ、おい――」
通路を抜けると、目の前に大きなお城のような物が静かに佇んでいました。
真っ白で綺麗な様相でした。思わず見とれてしまうほどの。
ハピル「わぁ……すごい…」
お城の向こうには見渡す限りの海が広がっていて、涼しい風が吹いていました。
一体何の為に建てられたのか。どうしてこんな所にあるのか。
3人には分からなかったけれど、この城にはきっと沢山のチャオ達が居たのでしょう。
ルスト「何だ?…こんなところに…服?」
シエル「なにしてるのぅ?」
服を眺めていたルストの元に、シエルが走ってきました。
ルスト「いや、この中に服が入っていたから」
ルストとシエルが話しているのを見て、ハピルも寄って来ました。
ハピル「何してるの?二人とも……あら、ドレス?と、タキシード??」
箱の中を暫く見てから、ハピルは元居た場所に戻って、何か物を持って戻ってきました。
ハピル「ねぇ、それ着て写真撮らない?」
ルスト「は???」
シエル「しゃしんとるー」
ハピルの提案に、シエルは目を白黒させ、シエルは内容を理解しないまま賛成しました。

ハピルとシエルは楽しそうに、ルストは少し困惑顔で、服を着ました。
ハピル「じゃあ、ここに並んで…と、これでよし!」
カメラのセットをして、ハピルも右端に並びました。
シエル「しゃっしーん!」
シエルが言って一拍後、シャッター音がしました。
パシャッ
ハピル「さぁて、どんな感じにできたかな?」
カメラから出てきた写真を、ハピルは手に取りました。
ハピル「あれ、まだ出来てないや…まぁしばらくしたら出来るかな?」
ルスト「どうする?もう戻るか?まだここにいるか?」
シエル「ここにいるぅー」
シエルは手を上げて答えました。
3人は城の中を探検したり、階段の手すりで遊んだり、目いっぱい楽しみました。

ハピル「あ、写真出来てる…」
写真には、微笑む自分と、元気に飛び跳ねたシエルと、そっぽを向いているルストが写っていました。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第269号
ページ番号
2 / 2
この作品について
タイトル
ガーデンのヒミツ 外伝 +++ヒーローガーデンのヒミツ+++
作者
神崎揚羽(紅黒梓)
初回掲載
週刊チャオ第268号兼GW&ライカ記念特別号
最終掲載
週刊チャオ第269号
連載期間
約10日