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がしっ
半漁人が離しかけたその手を、しっかり掴んだ人物がいました。
そして、一気にぐいっ!と、緑のチャオを引っ張り上げました。
ついでに半漁人の体も一緒に引き上げられて、そのまま半漁人は仰向けになって大きく呼吸を始めました。
「…ったく、世話かけさせやがって」
その声を聞いて、半漁人は今度こそ安堵で胸をなでおろしました。
ありがとう、店長……――
…
闇の取引所、いつものロッカーに戻ってきた半漁人、店長、そして緑のチャオ。
半漁人は、事情を説明しました。店長の反応は、
「…なるほどな、まぁ、ご苦労だったな」
こんな感じでした。
「ゲゲッ、ゲッゲ?」
「…あん?コイツをどうするかって?」
店長の言う『コイツ』とは、もちろん、今ロッカーの中を、やっぱり不思議そうに見渡している、緑のチャオのコトです。
「そうだな…適当に引き取ってくれるヤツ探して、あげちまえばいーだろ」
「……ゲェー…」
それを聞いた瞬間、半漁人が寂しそうな顔をしたのを、店長は見ました。
店長はしばらく考えてから、言いました。
「…まぁ、でも探すのも面倒だし、オマエの好きにしてもいいぞ」
「ゲッ!?」
「ココに置いておいても構わんが、俺は一切世話はしないからな。オマエが勝手に面倒見てろ」
「…ゲ、ゲッ……」
それを聞いた半漁人の鳴き声は、少し震えていました。
そして、半漁人の目から鱗があふれ出てきました。よかったね、半漁人。
…
その日から闇の取引所では、店長と半漁人に加えて、緑色のチャオが出迎えてくれるようになりました。
緑色をしていて、頭の上に火の玉が浮かんでいるので、双子の半漁人のように見えます。