ページ3



がしっ


半漁人が離しかけたその手を、しっかり掴んだ人物がいました。
そして、一気にぐいっ!と、緑のチャオを引っ張り上げました。
ついでに半漁人の体も一緒に引き上げられて、そのまま半漁人は仰向けになって大きく呼吸を始めました。

「…ったく、世話かけさせやがって」

その声を聞いて、半漁人は今度こそ安堵で胸をなでおろしました。

ありがとう、店長……――







闇の取引所、いつものロッカーに戻ってきた半漁人、店長、そして緑のチャオ。
半漁人は、事情を説明しました。店長の反応は、

「…なるほどな、まぁ、ご苦労だったな」

こんな感じでした。

「ゲゲッ、ゲッゲ?」
「…あん?コイツをどうするかって?」

店長の言う『コイツ』とは、もちろん、今ロッカーの中を、やっぱり不思議そうに見渡している、緑のチャオのコトです。

「そうだな…適当に引き取ってくれるヤツ探して、あげちまえばいーだろ」
「……ゲェー…」

それを聞いた瞬間、半漁人が寂しそうな顔をしたのを、店長は見ました。
店長はしばらく考えてから、言いました。

「…まぁ、でも探すのも面倒だし、オマエの好きにしてもいいぞ」
「ゲッ!?」
「ココに置いておいても構わんが、俺は一切世話はしないからな。オマエが勝手に面倒見てろ」
「…ゲ、ゲッ……」

それを聞いた半漁人の鳴き声は、少し震えていました。
そして、半漁人の目から鱗があふれ出てきました。よかったね、半漁人。







その日から闇の取引所では、店長と半漁人に加えて、緑色のチャオが出迎えてくれるようになりました。
緑色をしていて、頭の上に火の玉が浮かんでいるので、双子の半漁人のように見えます。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第205号
ページ番号
3 / 3
この作品について
タイトル
~半漁人のとある一日~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第205号