はじめてのちいさな冒険

はじめてのちいさな冒険

ここは小さな斜面の町の、ちいさな郵便屋さん。
そこのチャオガーデンにすむ一番小さなチャオ、ぷちているは、お散歩が大好き。
朝一番に飛び起きて、お外へ出かけます。
でも・・・・あれれ?まだ朝の4時にもなっていないのに、ぷちているの目覚まし時計はけたたましく鳴りました。
ところがぷちているときたら、時計も見ずにバネがついたように飛び起きて、顔も洗わずに外へすっとんでいきました。

斜面の上にたちならんでいる家々をみわたせる、森と商店街に挟まれたその郵便局。
ドコまでも真っ青な海に、ぽつんと、複雑な地形の島が浮いています。
町のはずれには森が広がり、東の森の木々の間からひらけただだっ広い広場も見えます。
森の川のせせらぎも、その先に続く滝の音も、心地よく吹く潮風も。
何もいつもと変わりありません。
でも町を歩いているうちに、ぷちているは、歩みを止めて、口に指のない手を当て、ポヨをはてなにして考え出しました。
─もう、こんなにあるいているのに、だれもいない。なんで?
それもそのはずです。まだ、4時なのですから。
おっちょこちょいのぷちているときたら、まわりがまだ暗くてお日様も昇りかけている途中だということにも気づかずに、おかしいな、みんなどこにいったのだろう?と、いつまでたっても考えています。

ぷちているは、お散歩好きでもありますが、冒険好きでもありました。
そして冒険をするためのつじつまをあわせようとします。
みんな、きっともりのいずみにさらわれちゃったんだ。そうだ、みんなをたすけにいかなきゃ。
ふつう、小さなチャオは、だれもいないとわかると怖がって家に帰るところでしょうが、ぷちているときたら、そんなことはちっとも思わず、(みんながさらわれたと思っているのにしては)軽い足取りで森へかけていきます。

ぷちているは、川の上流(にしてはおだやかな小川でした)に沿って、泉のほうへと向かいます。
いつ知ったのやら、ぷちているは、あの泉は河の湧き水になっているということを知っていました。
だんだん、泉が、木々の間から見えてきます。
ぷちているは、森の中の坂道を駆け上がっていきます。
コドモのチャオがこんなに長い間走っていられるわけはないのですが、毎日のお散歩で鍛えられたのでしょうか、ぷちているは息切れもせず森の木々の間を縫うように走っていきます。
そして、ひらけた平地に─泉に、たどりつきました。
ぷちているは、その泉に入っていきます。
その浅い泉の底は、まるで砂浜みたいにさらさら。
ぷちているは、水の湧き出ている泉のまんなかへ近づいていきました。
泉の真ん中の上に立つと─ぷちているは、足を踏み外しました。
なにかふかいあなでもあいているのかな?ぷちているはそう思いました。
しかし、それがスグにまちがいだと気がつきました─泉の真ん中に─深いどころではありません─地下へと続く穴があったのです。
その穴は、ぷちているをひきずりこんで、地下の世界へとつれていきました─

つづく~♪

このページについて
掲載号
週刊チャオ第119号
ページ番号
1 / 2
この作品について
タイトル
はじめてのちいさな冒険
作者
ぺっく・ぴーす
初回掲載
週刊チャオ第119号