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―やっと会えた
星屑舞う 月照る十五夜
月から降りた 一羽の兎
白く 半透明の美しい体のチャオ
―100年間、ずっと貴方を待っていた
100年前の出来事 今でも忘れていない
私がまだ神でいた100年前
私は貴方に神の力を奪われた
そのときは強く恨んだ 憎んだ
しかし貴方は言った
―神とは 犠牲を無くして生きることはない 貴様にその勇気があろうとするのなら 私は再び貴様にこの強き力を捧げんでもない―
私は地を制覇する神であった 地を守る者に 犠牲など必要なものか
なるほど 貴方は
―犠牲という言葉を用いり私から神の力を奪おうというのか―
―思考が甘し者よ なら貴様に問うぞよ
―貴様は犠牲を扱えるほどの心と感情を持っているか
―貴様に犠牲は
扱 え な い
そして私は貴方に神の力を奪われ
家も何もない なんの取り柄もない生活が始まったのだ
苦しかった
まさか庶民の暮らしがここまで辛いとは
しかし貴方は100年前言ったな
―100年後 私は貴様の前に再び現れよう そのときに貴様が 楽に犠牲を扱える者をなっておるのならば 神の力を貴様の許(もと)に帰す
ちなみに私は 100年前とは大分違う 犠牲などがなんだ 神など もともと天下を持つ者なのだ
少しの犠牲など 惜しまん
―言ったな 100年もの間 成長したのであろうが
さあ 帰してもらおうか 私に 神の力