『メイドの仕事』
彼女は守るために存在している
守るべき時、月の光はいつでも彼女を照らしていた
そして、彼女はこう呼ばれた・・・・・
『月光のメイド』
第五話「メイドの仕事」
季節は秋。9月である。
ここはチャオの森。
人に捨てられたりしてくる、チャオの国でもあった。
そのチャオの森は、チャオが作った街、平原、火山など人間にとっても広い森であった。
そのチャオの森の『チャオティックルーイン』という街の北の森の奥に、一つの大きな屋敷があった。
人間が住めるような広さの屋敷で、庭も相当広い
その屋敷には、屋敷の持ち主であり、お嬢様であるHFF型の『フィル』。
チャオでありながらメイド服をきているメイドのNNN型の『メルト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来るツッコミをすることが多いHSS型の『ジェイド』。
屋敷の庭の管理をしているHNN型の『ピューマ』。
屋敷の地下にある図書室で幻闘術というものを研究しているDSS型の『ジェネリクト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来る瓢箪を持ち、いつも酔っ払っているNPP型の『ヴァン』。
そんなチャオがいる屋敷の話である。
メイドの仕事はいつも大変である。
ジェイドはそう思っていた。
いつもメイドであるメルトさんを見ているけど・・・これは本当に忙しいものなんだろうな・・・。
メルト「どうしましたジェイドさん?」
屋敷の1階にある廊下で掃除をしていたメイド服をきているメルトさんが、尋ねてきた。
メルトさんを見ていたから、あちらが気になっていたのだろう。
ジェイド「いや・・・メルトさんいつも大変そうにしているなぁ、と思っただけです。」
メルト「大変・・・そう見えますか?」
そう見えますかって・・・。
ジェイド「実際忙しいでしょう?」
メルト「掃除は日ごとに場所を決めているので、そこまで大変ではありませんし・・・買い物も料理もいつものことですので。」
そして、あのわがままなお嬢様の相手もしているのだから、どう見ても忙しそうに見えるんだけどなぁ・・・。
ジェイド「じゃあ、掃除終わったら、メルトさんの毎日の仕事を教えて欲しいのですが・・・。」
メルト「・・・いいですけど。どうしてそんなことを聞かれるのでしょうか?」
ジェイド「ただの好奇心ですよ。」
メルト「・・・分かりました。掃除終わったら聞かせてあげますね。」
そう言って、メルトさんは掃除を再開した。
メルトさんが多少不思議そうに見ていたが・・・俺の好奇心は異常なんだろうか・・・。
そうも思ったりするジェイドであった。
そしてメルトさんが掃除が終わり、屋敷の食堂にいた俺の場所にやってきた。
ちなみに隣には、休憩中である庭師のピューマさんがいた。
ピューマ「あ、メルトさん。」
メルト「あら。ピューマさんもご一緒でしたか。」
ジェイド「はい・・・フィルはどこに行きました?」
メルト「お嬢様ならお昼寝中です。」
あいつも昼寝とかするのか・・・。
多少見に行きたい気もしたが、メルトさんになにされるか分からないので止めておこう。
ピューマ「メルトさんの仕事ですかー。知りたいですー。」
ジェイド「では・・・メルトさんお願いします。」
メルト「そうですね・・・まずは、いつもやっていることを言いましょうか・・・。」
こうして、メルトさんの仕事のことが明かされるのであった・・・。
5時。
屋敷のメイドであるメルトは起床する。
早く起きていろいろすることがあるらしいからである。
すぐにメイド服を着て、そして庭の方に行くのであった。
その時に、的のようなものを持ってきて、木に吊るす。
その的から8メートル程度離れる。
メイド服の中からいろんな道具を取り出し、的に向かって投げつけた。
その道具は、石であったり、トランプであったり、ナイフであったり、ペンだったりした。
全て的に当たったり刺さったりしていた。
その後的を片付けて、かかしのようなものを地面にさした。
そして、そのかかしを素早い動きで殴り、蹴ったりする。
メイド服からムチをとりだし攻撃したり、ナイフを使ったり、トランプを高速で振って斬りつけていたりしていた。
メルト「朝は訓練のため、このようなことをしています。」
ピューマ「凄いですねー。」
・・・すまん。もうついていけない気がしてきた。
朝っぱらからなんてカオスな戦闘の訓練をしているんだ・・・。
メルト「そして、次はですね・・・。」
6時
訓練が終わると、屋敷の掃除を始める。
屋敷は人が何人も住めるほど広いため、何回か分けて掃除しないと終わらないからである。
そして、さすがに屋敷全体を一日で掃除できないため、場所を毎日変えて掃除するらしい。
8時
大体9時頃にお嬢様が起きてくるため、朝食の準備に取り掛かる。
料理の内容は、木の実を使っての料理や、人間が食べるような料理だったりするらしい。
9時
お嬢様が起きてくる。ピューマも大体その頃である。
朝食を食べさせて、ここから大体お嬢様の世話も合わせて行動する。
ちなみに、ジェネリクトにも朝食を図書室に運びに行く。
10時
前日に使った、メルト自身のメイド服(メイド服はいくつかある)やタオル、雑巾などを洗濯し始める。
全て手作業である。そして、屋敷の屋上に洗濯物を干す。
晴れていない日は室内に干す。
11時
昼食を作り始める。
12時
昼食の時間である。
この時にも、ジェネリクトのいる図書室に昼食を持っていく。
13時
大体この時間帯からお嬢様の世話をすることが多い。
この内容は、いつも変化している。気まぐれであるため。
15時
再び屋敷の掃除をし始める。
ちなみに屋敷の外の庭は、ピューマが管理しているため、メルトはなにも行わない。
17時
必要なものがある場合。買い物をしにチャオティックルーインに買い物をしに出かける。
その時に、メイド服をきているため、他のチャオから視線を浴びることも多々あるが、メルト自身は気にしていないらしい。
19時
夜食を作り始める。
夜食が一番量が多いため、多少時間がかかる。
ちなみに、この時間帯はジェイドが既に家に帰っている場合が多い。
20時
夜食の時間。
ジェネリクトのいる図書室に夜食を持っていく。
22時
風呂に入る。
お嬢様自身が誘ってこない場合、この時間帯に風呂に行くのである。
この時間帯に、ヴァンがいつの間にかいなくなっていたりする。
23時
お嬢様が寝る。
しかし、メルトはまた掃除を始める。
1時
メルトはこの時間になってやっと寝る。
メルト「という感じですね。」
ピューマ「凄いですー。
待て待て待て待て。
休む時間がほとんどないじゃないか!予定通りだと!
そして、掃除時間多い!それで屋敷の全体を掃除できないって広すぎるだろこの屋敷!
後、ジェネリクトさん動け!
ジェイド「やっぱり予定は変わったりするんですよね・・・。」
メルト「皆さんの相手をするのも予定のうちですので、そこまで変わることはありませんね・・・。」
ジェイド「・・・でも休憩時間が無いような気がするんですが。睡眠時間4時間って・・・。」
ピューマ「あ!本当ですー!これはキツイですー!」
ピューマさん・・・今気づいたのですか・・・。
ジェイド「いくらなんでも、メルトさん。これは・・・。」
メルト「ですが、休憩時間ならありますよ。」
ジェイド「?」
ジェイドのポヨが?になった。
今の話を聞いていたら、全然無かった気がするのだが・・・。
???「メルトー。」
その時、食堂にこの屋敷のお嬢様のフィルがやってきた。
メルト「お嬢様。お目覚めでしたか。」
フィル「お菓子が食べたいわ。」
ジェイド「・・・お前。」
ジェイドはフィルに怒ろうとしたが、メルトがそれを止めた。
メルト「ジェイドさん。私の休憩時間は、あなた達のお相手をすることなんですよ。」
そう言って、メルトはお嬢様のためにお菓子を取りに行ってしまった。
フィル「・・・どうしたのあんた。」
ジェイド「・・・はぁ。なんでもない。」
フィル「意味の分からない奴。」
そう言うと、フィルは椅子に座った。
・・・あんなこといわれたら、言うにも言えないな・・・。
彼女にとって、このような仕事はあたりまえなんだろう。
そう思うと、やっぱりあのメイドは凄い方なのだと、改めて思ったのであった。
第五話「メイドの仕事」 終わり