『失敗ゆえの成功』1
彼女は守るために存在している
守るべき時、月の光はいつでも彼女を照らしていた
そして、彼女はこう呼ばれた・・・・・
『月光のメイド』
第三話「失敗ゆえの成功」
季節は春。5月である。
ここはチャオの森。
人に捨てられたりしてくる、チャオの国でもあった。
そのチャオの森は、チャオが作った街、平原、火山など人間にとっても広い森であった。
そのチャオの森の『チャオティックルーイン』という街の北の森の奥に、一つの大きな屋敷があった。
人間が住めるような広さの屋敷で、庭も相当広い。
その屋敷の地下一階に本がたくさん保管されているところがあった。
いわゆる図書室である。あたりはやはり広かった。
その図書室で、本を読む一人のチャオがいた。
DSS型のチャオであった。
???「氷に雷を通すためには、氷の周りに水を多少張れば・・・・・。」
そう独り言をいいながら研究をしていた。
そんな中、一人のチャオが図書室に入ってきた。
そのチャオはあまりにも珍しい姿をしていた。
普通、チャオは服をきないのだが、そのチャオはメイド服をきていたのであった。
???「ジェネリクト、研究の方はどうですか?」
そう、本を読んでいたDSS型のチャオ・・・ジェネリクトにむかって、メイド服をきたチャオは言った。
ジェネリクト「今回は簡単にいきそうだよ。そこまで難しい術じゃないし。」
???「一体いくつ幻闘術の技をつくるつもりなのですか?」
幻闘術とは火、氷、雷、風、光、闇の6つの自然現象を利用した戦闘術。取得するには数々の訓練が必要である。
ジェネリクト「死ぬまで作るつもりだよ。それが僕の生きる道だからね。」
???「そうですか。」
ジェネリクト「メルトだって、あのわがままなお嬢様を守るのが生きる道みたいなものだろう?」
メイド服をきたチャオ・・・メルトにジェネリクトは問いかけた。
メルト「生きる道なんて、自由でいいと思いますよ。」
ジェネリクト「じゃあ、お嬢様はどうでもいいのかい?」
メルト「そうではありません。今はそうなっているだけです。」
ジェネリクト「本当は一生そうしたいくせに・・・。」
メルト「・・・そうでしょうね。」
そう言って、ジェネリクトに紅茶をさしだした。
メルト「紅茶です。」
ジェネリクト「ありがとう。」
メルト「それでは、私はこれで・・・。」
ジェネリクト「・・・・・変わってしまったね、君は。」
出口に向かっていた。メルトの足が止まった。
メルト「・・・どういうことですか?」
ジェネリクト「昔の君は、本当に酷かったからね。未だに笑っているところを見たことないけど。」
メルト「昔は昔です。」
ジェネリクト「・・・まぁ、いいや。」
メルト「では、失礼します。」
そう言って、メルトは図書室から出て行ってしまった。
図書室にはジェネリクト一人だけになった。
ジェネリクト「・・・あのお嬢様は、本当にいい人なんだね。」
そう独り言を呟いて、ジェネリクトは作業に戻った。
ジェネリクトは、新しい幻闘術を開発する仕事をしているチャオであった。
幻闘術に関する本を書き、お金を稼いでいた。
しかし、彼はお金のために仕事をしているわけではなかった。
ただの趣味である。
術が完成するたびの喜びが、彼の楽しみなのであった。
メルト「おはようございます。」
次の日、メルトはまた図書室にやってきた。
ジェネリクト「んー・・・おはよう・・・。」
ジェネリクトは眠たそうにそう答えた。
メルト「朝食を持ってきました。」
そう言って机の上の本をどかし、料理をジェネリクトの前においた。
料理は木の実のソテーであった。
ジェネリクト「ありがとう。」
メルト「それではこれで・・・。」
そう言って、メルトは図書室から出て行こうとしたが・・・。
とある訪問者によって、それはさえぎられた。
???「メルトさああああああああああああああん!!」
びっくりして、ジェネリクトのポヨは!に変わった。
そして声のしたほうを振り向いた。
そこには、HSS型のチャオがメルトの後ろに隠れていた。
メルト「どうしたのですか、ジェイドさん。」
HSS型のチャオ、ジェイドはいきおいよく答えた。
ジェイド「助けてください!殺されかけています!」
メルト「落ち着いてください。誰にですか?」
ジェイド「フィルにです!」
その瞬間、凄い勢いでなにかが飛んできた。
この屋敷の主・・・HFF型のお嬢様のフィルであった。
フィル「さて・・・覚悟はいいかしら?」
メルト「どうされたのですか、お嬢様。」
フィル「こいつ、私に攻撃したわ。」
ジェイド「違うって!あれは事故だって!」
するといきなりフィルは消えて、ジェイドの上空に現れた。
フィル「うるさい、黙れ。」
そのままジェイドの頭にむかって、急降下しながら鉄拳を喰らわした。
そこまで痛くはなかった・・・・・。