『花を愛する者』3

ピューマは、姿はHNN型であった。
片手に如雨露を持っており、ニコニコしながら話しかけてきた。


ピューマ「そうですかー。お嬢様がいっていた方はあなただったのですかー。」
ジェイド「なんといっていましたか?」
ピューマ「それは・・・・・すみません。多少いえない部分がありますけどいいですか?」


泣きながらそう聞いてきた。ピューマのポヨがぐるぐる巻きになる。
何故泣くのだ。あいつは何を言っていたのだ。


ジェイド「いいですよ!泣かないで下さい!教えられるところだけでいいですから!」
ピューマ「ありがとうございます!」


そういうとまた笑顔になった。
どうやら、感情変化の激しい人なのかもしれない。


ピューマ「そうですね・・・とにかくおもしろい人と言ってましたよ。」
ジェイド「おもしろい人ね・・・あのお嬢様がそんなこと言ってると思えないのですけどね・・・。」
ピューマ「お嬢様は恥ずかしがりやなのですよ。」


そうピューマは言った。
恥ずかしがりやなのだろうか・・・・・なんか笑えてきた。


ピューマ「笑っちゃいけませんよー。一応お嬢様はそんな方なのですから・・・。」
ジェイド「あぁ、分かりました。」


いつの間にか、顔も笑っていたらしい。


ジェイド「しかし・・・・・この花畑綺麗ですねー。」
ピューマ「そう思いますか!いままで植物を育ててきたかいがありました!」
ジェイド「もしかして、これ一人で管理しているのですか?」
ピューマ「これだけじゃありませんよー。屋敷の中の桜の木も、銀杏の木も、向日葵も、紫陽花も全部私が管理しているのですよー。」


それは凄いことである・・・・・なんでこんなに屋敷内に凄い人が二人もいるのだろうか。
まだ凄い人がいそうで怖そうだが・・・・・。


ピューマ「向日葵は夏になったら、一斉に咲かせられるようにがんばっています!」
ジェイド「それはフィルの命令で?」
ピューマ「いいえ。私の趣味です!」


趣味でこんなにできると凄すぎるだろ。


ピューマ「ちょっと、こっちに来てもらえませんか?」
ジェイド「あ、はい。分かりました。」


言われるがままについていった。


この屋敷は一見洋式見える屋敷だが、和式と洋式が混ざっている屋敷になっているという、おかしな構造であった。

そして、そこは屋敷の西の方角にあたる部分で、和式となっている場所であった。
その場所は和式となっており、障子がたくさん並んでおり、そこから庭をゆったりと見れるスペースが設けてあった場所である。


そして、その庭にあったものは・・・・・。


ジェイド「・・・はは。こりゃ凄いわ・・・・・。」


満開の桜が一面を取り囲み、中央にある桜はとてもとても大きな桜で、優雅に美しく咲いていた。


ピューマ「私の育てた桜の中でも、一番のお気に入りの桜です。もしかしたら、この世界の中で一番綺麗に咲いたと思います。」


確かにそうかもしれない。
どう育てればこうなるのだろうか・・・桜は世話をしないといけない木だっただろうか・・・。


しかし、自分の見てきた桜の中ではもっとも美しく咲いている桜だと思った。


ジェイド「ピューマさん。あなたは多分、世界で一番自然を愛しているチャオだと思います・・・ここまで綺麗にすることは到底不可能ですよ、人間だってできやしません。」
ピューマ「ありがとうございますー。」


そう言われると、ピューマは桜の下をくるくると回り始めた。

そんなニコニコと笑っているピューマも、綺麗に見えた。


ジェイドは微笑んだ。


フィル「ずいぶんと余裕そうね。」


ジェイドのポヨが!になる。
ジェイドは、後ろから聞こえた声でさっきまで何をやっていたのか思い出した。
振り返ろうとしたが、時既に遅し。


フィル「タッチ。次はあんたの鬼ね。」
ジェイド「うがー!忘れてた・・・やられたああああ!!」
ピューマ「お嬢様こんにちわー。」
フィル「あら、仕事ご苦労様。あんたも入る?鬼ごっこに?」
ピューマ「入りたいです!」


ピューマも鬼ごっこのルールは分かっているらしい。


フィル「それじゃジェイド。私を捕まえられるかしら?」


そう言って、フィルとピューマは逃げていった。


ジェイド「あいつ・・・・・絶対捕まえてやる!!」


ジェイドは走り出したが、一度振り返り桜を見た。


そして、世界一美しい桜を見て微笑んだ。


いつまでも桜は、綺麗に咲き誇っていた・・・・・。


結局ジェイドはフィルは捕まえる事はできず、ヴァンは一度も鬼にならなかった。


第二話「花を愛する者」              終わり

このページについて
掲載号
週刊チャオ第332号
ページ番号
9 / 41
この作品について
タイトル
月光のメイド
作者
斬守(スーさん,斬首,キョーバ)
初回掲載
週刊チャオ第331号
最終掲載
2009年9月16日
連載期間
約1年1ヵ月20日