『花を愛する者』2
フィル「つまり、鬼は相手を捕まえて、捕まった人は次の鬼となって相手を追いかける・・・・・そして、捕まえ方は相手の体に触れればよくて、鬼は相手にタッチすれば鬼でなくなると。」
ジェイド「そうだ。間違っている気がしたが、全然間違っていない説明だったな。」
フィル「私は頭がいいの。さて、今四人いるとして、もう一人は『ヴァン』を呼んで四人でしましょう。」
ジェイド「・・・・・『ヴァン?』」
フィル「酔っ払いよ。呼べば来るでしょ。」
そういうと、フィルは『ヴァンー!!』と大声をだして呼んだ。
そこまで、遠くまで聞こえるような気がしない声だったが、テラスの入り口の扉が開いて誰か来た。
フィル「ね?酔っ払いでしょ。」
ジェイド「・・・・・。」
そこには、NPP型チャオがいた。
それがリューと呼ばれるチャオだった。どうやら、この屋敷の住人ではないらしい。
足取りが多少フラフラしており、腰には一つの瓢箪(ひょうたん)があった。チャオにとってはでかい瓢箪である。中身は聞かなくても分かった。絶対酒が入っているに違いない。
ヴァン「なんかようかー?」
酔っ払った声でそう聞いてきた。ポヨが?になった。
意識はよく分からないけどあるらしい。
ジェイド「この人って、俺が来た時にどこかの部屋で倒れていた人じゃ・・・・・。」
フィル「よく覚えてたわね、その通りよ。メルト事情を説明しなさい。」
メルト「かしこまりました。」
そういうとメルトは、ヴァンに事情を説明し始めた。
ヴァン「つまり、俺も混ぜて鬼ごっこやるってことやね。いいよー。暇だし、面白そうだし。」
と、ヴァンのポヨはハートマークになった。
自分と同じ屋敷の住人でないせいか、鬼ごっこのルールはすぐに理解できたらしい。
酔っ払ってるのに、意識ははっきりとしているんだな・・・・・。
そして、鬼ごっこは始まった。
最初の鬼は自分。さてどうしたことやら・・・。
逃げられる範囲は、屋敷の外の庭だけらしい。
しかし、結構広いのでみんなどこに隠れて逃げているのかすぐに分からなくなった。
ジェイド「とりあえず、捜索してみるか。」
そうジェイドは言うと、歩き始めた。
その後ろから、メルトがついてきて隠れていたのは、ジェイドはこの時はまだ知らない・・・。
ジェイド「いた!まてフィル!!」
捜索していると、とある木の上にフィルが隠れていた。
ジェイドは木をのぼりはじめるが、フィルは木を飛び降りる。
ジェイド「な!?危ないぞお前!!」
そう思ってフィルの落ちる地点に飛び降りたが、
フィルがHFF型だということを忘れていた。
そのまま空を飛んで、少し離れたところに着地した。
当然ジェイドは、顔から地面に激突する。
フィル「あんたごときに捕まりはしないわよ。」
そう言って逃げていった。
ジェイドのポヨはぐるぐる巻きになった。
ジェイド「あの野郎!!」
そういってジェイドはフィルを追いかけにいった。
その後ろを、メルトが上手く隠れながら追跡する・・・・・いつ気づくのだろうか。
そしてフィルを見失った。
かわりに、平坦な広場で寝転がっているヴァンを見つけた。
ジェイド「(ヴァンはやる気があるのだろうか・・・。)」
そう思って、ゆっくりと起こさないようにヴァンに近づいてタッチしようとした。
しかし、ジェイドは穴の中に落ちていった。
落とし穴を仕掛けられていたらしい。
ヴァン「はっはっはっ!酔っ払いだからって、なめないでほしいね!」
そうヴァンはいうと、ポヨがハートになったまま、楽しそうにどこかへ逃げていった。
ジェイドのポヨはまたぐるぐる巻きになる。
ジェイドは落とし穴の中で、怒っていた。
ジェイド「うっし決定。死ぬ気であいつらを捕まえる!」
しかし、落とし穴は結構深かったので、すぐには上がれなかった。
メルト「大丈夫ですか?」
メルトが助けに来てくれた。
メルトはジェイドの手を掴んで、落とし穴から引きずりだしてくれた。
ジェイド「ありがとうございますメルトさん!よし!あいつら捕まえてきます!!」
メルト「・・・・・あ。ジェイドさん。」
行こうとしたジェイドを引き止めた。
ジェイド「なんですか?」
メルト「私、重大なミスを犯しました。」
ジェイド「?」
メルト「あなたと触ってしまったため、私が次の鬼です。」
ジェイド「あ。」
とんでもない捕まえ方であった。
敵の罠が、こっちに有利となって戻ってくるとは・・・。
というよりも、なんかメルトさんに悪い気がするが。
その前にここら辺にメルトさんが隠れられる所あったけ?
ジェイド「ところで、メルトさんどこに隠れていたのですか?ここらへん何も隠れるところないのですが・・・。」
メルト「あなたの後ろをずっとついてきました。」
ジェイド「・・・・・え?」
本当に二つともとんでもないことである。
メルトさんから逃げて、そして現在鬼はフィルである。
さすがに、フィルもメルトさんに勝てないということか。
メイドがお嬢様を狙うのもどうかと思うけど・・・。
そう思って屋敷の裏側に逃げていたら、ある一つの光景が目の前に広がった。
辺り一面、花畑だったのである。
ジェイド「・・・屋敷の庭にこんなところがあるのか・・・・・。」
そう思っていたら、どこからか歌声が聞こえてきた。
歌の聞こえる方向に行くと、ある一人のチャオが如雨露(じょうろ)を持って花に水をかけていた。
???「花が咲くー♪桜模様の絶景にー♪」
ジェイド「あの・・・すみません。」
???「うひゃ!?」
ジェイドが後ろから声をかけたら、あいては驚いてしまった。
相手のポヨが勢いよく!になる。
そして、如雨露を持った子はこっちを振り向く。
???「えーと・・・どなたでしょうか?」
そうして初めて、この屋敷の住人の一人『ピューマ』に会った。